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Zaif親会社クシムの「ガバナンス上の問題点」を指摘

暗号資産(仮想通貨)交換業者Zaifの親会社で東証スタンダード市場に上場する株式会社クシムの取締役である田原弘貴氏は30日、クシムのガバナンス改善を訴える特設サイトを公開した。

同社が投資企業シークエッジグループの実質支配下にあることやクシムに多額の使途不明金があることなど、クシムや傘下のZaifなどの企業の内情を赤裸々に明かしたうえで株主提案を行った

今回の発表に先立ち、クシムは25日、同日開催の取締役会にて当時取締役の一人であった田原氏に対し、外部への情報漏洩やインサイダー取引への関与など不正行為が判明したとして辞任勧告を決議したことを発表していた。

一方で、田原氏は翌日にインサイダー取引関与の疑惑に関してX(旧:Twitter)にて、クシムの開示情報には「重大な誤り」があるとし、「私の株主提案を握りつぶすための、事実に反する言いがかり」であると反論していた。

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なお、同氏はクシムの取締役会で辞任勧告を受けたことに伴い、以前より務めていた株式会社チューリンガムの代表取締役を解任された。チューリンガムはクシムの子会社でブロックチェーン開発を行う企業。

ガバナンス上の「5つの問題点」

田原氏は、現状のクシムのガバナンス上の問題点として以下の5点を挙げた。

  1. Zaifが他社からTOBによって奪われることを危惧し、Caica Digital社にZaifの43%の新株予約権発行
  2. ライツ・オファリングで調達した資金をシークエッジ関連の株や暗号資産の購入に充当、昨期だけで10億円以上の減損
  3. 株式会社フィスコとの株式交換により、シークエッジを実質支配株主とすることを検討
  4. 多額の使途不明金
  5. シークエッジグループの代表者白井一成氏の香港オフィスの家賃(250万円/月)の負担とファミリーオフィス業務への従事

同氏によれば、クシムの経営陣はZaif社の運営事業を担う株式会社ZEDホールディングスの経営支配権をTOBで他社に奪われることを危惧し、Zaifの前親会社でシークエッジグループの影響下にあるカイカデジタルに移転させるために大規模な新株予約権の発行を決定。

田原氏によれば、上記行為は「シークエッジグループにとっての買収防衛策」であり、「取締役の会社に対する善管注意義務違反として違法性が非常に高い」と指摘した。

また、ライツ・オファリング(既存株主に新株予約権を無償で割り当てる増資手法)により調達した資金を本来の使途である事業成長に投資せず、シークエッジ支配下にあり東証スタンダード上場のフィスコによる仮想通貨購入に充当し昨期だけで10億円以上の減損を発生させた

フィスコとの株式交換により、シークエッジグループをクシムの実質支配株主とすることを経営陣が検討しているほか、クシムには年間数千万円単位の使途不明金が存在することも明かされた。フィスコの時価総額が低下傾向で、シークエッジグループが2023年にすべて売却したクシムの株式を株主交換により再び獲得したい考えであると推測した。

さらに、クシムの社員は1名しか駐在していないにもかかわらずシークエッジグループの代表者である白井一成氏の所有する香港オフィスの家賃(月額250万円)を負担するなど、シークエッジグループの利益を優先した経営を行っていると指摘。

そのうえで、「クシムの企業価値・株主利益の毀損を厭わない」経営実態であることは明らかであり、取締役らは会社法や民放で定められる善管注意義務および忠実義務に違反していると批判した

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問題発生の要因と内情

田原氏は先述のような状況に陥った主な要因は、クシムの取締役会や監査等委員会がシークエッジグループの実質的支配下に置かれていることにあると指摘する。

同グループは、クシム社と資本関係がないにもかかわらず、クシムの常任取締役においては4名中3名が、監査等委員においては3名中2名がシークエッジグループからの出向メンバーで構成されており、「Web3領域の事業成長よりもシークエッジグループへの利益供与を目的とする意思決定が行われやすい体制」が構築されているという。

出典:特設サイト

一例として、クシムでは経営陣が白井氏やシークエッジグループ関係者に対し定期的に事業状況を説明や質疑応答をしたうえで、アドバイスを受ける「諮問会」という不透明な会議体が存在していると明かした。

同氏は同社の取締役を務めていた当時、取締役会でシークエッジグループの実質支配化からの脱却およびWeb3事業への注力やガバナンス体制の構築を含む抜本的な経営改善を説いたものの、改善は見られなかったという。

株主提案の内容

クシムの総株主の議決権の100分の1以上の議決権を継続して保有する同氏は、2025年1月に開催予定とされる定時株主総会において、株主提案を行うとした。内容は以下の2点。

  1. 田原氏を含む取締役4名の選任
  2. 監査等委員2名の選任

現取締役陣は、シークエッジグループの利益を優先し、企業価値・株主利益の毀損を厭わず、結果として「経営が不振を極めている」と非難している。

そこで、同グループの実質支配からの脱却および経営再建のため、ブロックチェーン開発で高い実績を誇る株式会社チューリンガムの代表取締役CTOも務めていた同氏の取締役選任(辞任勧告の撤回)やZaifの代表取締役を務める大島卓也氏などの取締役選任を求めた。

また、監査等委員2名の選任については、シークエッジグループの強力な影響下にある現任の取締役の再任を許さず、新たに独立性を有する候補者を選任する提案を行った。

上記株主提案を現取締役陣が誠実に検討せず不合理に反対を表明するようであれば、東京証券取引所への通報も辞さず、株主総会において株主の信を問うとした。

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参考:特設サイト

coindog編集長
仮想通貨ブロガー/投資家
早稲田大学卒|元業界関係者で現coindog編集長🐶|2020年から仮想通貨投資を開始|大手メディア3社で編集者・キュレーターとして従事→独立|趣味は投資・筋トレ・音楽鑑賞・ラップバトル観戦・コーヒー屋さん巡り

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