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ステーブルコインJPYSCが切り拓くデジタル円の未来
暗号資産(仮想通貨)市場で存在感を高めるステーブルコイン。その新たな選択肢として注目されているのが、SBIグループが発表した日本初の信託型円建てステーブルコイン「JPYSC(ジェイピーワイエスシー)」です。
しかし、「JPYCとは何が違うのか?」「具体的に何に使われるのか」など、疑問を持つ人もいるのではないでしょうか?本記事を読めば、こうしたJPYSCに関する疑問をひとつずつ解消していけるでしょう。
JPYSCの仕組みや特徴、JPYCとの違い、想定される用途、利用する上で知っておきたい注意点まで、初心者にもわかりやすく解説します。
- ステーブルコインJPYSCとは
- ステーブルコインJPYSCとJPYCの違い
- ステーブルコインJPYSCの6つの特徴
- 3-1 日本円と連動するため価格が安定しやすい
- 3-2 日本初の信託型円建てステーブルコイン
- 3-3 大口決済に対応
- 3-4 ブロックチェーンで迅速な送金と安価な手数料を実現
- 3-5 多様な使い道
- 3-6 発行体が倒産しても資産は全額返還される
- ステーブルコインJPYSCの使い道
- 4-1 大口決済やクロスボーダー決済
- 4-2 RWA(現実資産)決済
- 4-3 国内店舗決済
- 4-4 オンチェーンFX
- 4-5 レンディングによる資産運用
- ステーブルコインJPYSCの注意点
- ステーブルコインJPYSCの買い方
- ステーブルコインJPYSCはこんな人におすすめ
目次
1.ステーブルコインJPYSCとは

JPYSCは、日本円と1:1で価値が連動するよう設計された円建てステーブルコインです。SBIホールディングスとStartale Groupが共同で立ち上げ、SBI新生信託銀行が発行を、SBI VCトレードが流通を担っています。
法的な枠組みで言えば、JPYSCは日本の資金決済法上の「第3号電子決済手段」に該当する国内初の信託型円建てステーブルコインです。JPYSCでは、SBI VCトレードが信託した日本円をSBI新生信託銀行が信託財産として管理します。
JPYCが該当する1号電子決済手段とは異なり、滞留・売買・出庫にかかる100万円の上限を受けないため、大口の資金移動にも適しています。
想定される使い道としては、ブロックチェーンを活用した決済、クロスボーダー送金、オンチェーン金融での円建て決済手段としての活用が期待されています。
2026年6月に仮想通貨・電子決済手段取引所SBI VCトレードにて取引サービスが開始されています。なお、現時点ではSBI VCトレード口座内での取引に限定され、外部ウォレットへの入出庫には対応していません。
1-1 ステーブルコインとは
ステーブルコインは、ブロックチェーン上で発行される資産であり、その価値が安定していることを特徴としています。
ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)など一般的な仮想通貨は価格の変動が激しい一方で、ステーブルコインはドルや日本円を含む法定通貨など他の資産に価格を連動させることで、価値の安定を保っています。
例えば、米ドルに連動したステーブルコインのなかでも米Circle社が発行する「USDC」や米リップルの子会社が発行する「RLUSD」はそれぞれ1USDC=1米ドル、1RLUSD=1米ドルに相当するように設計されています。通常、ステーブルコインの発行企業は、発行総額の100%の裏付け資産を保有することでその価値を担保します。
ステーブルコインについてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
なお、JPYSCに加えて上記のUSDC、RLUSDについても国内では仮想通貨取引所SBI VCトレードでのみ取り扱われています。
1-2 PayPayなど電子マネーとの違いは?
ステーブルコインJPYSCは、日本の法令上は電子決済手段であると説明しました。それでは、「電子決済手段とPayPayなどのサービス上で使用されるお金(資産)とは何が違うの?」と思った方もいるでしょう。
以下の表では、電子決済手段とPayPayおよびそれに類似したサービス上の資産の違いをわかりやすくまとめました。
いずれも資金決済法という法令で定められているという点で共通していますが、前者は電子決済手段、後者は前払式支払手段と定義されています。
前者は、現状JPYSCとJPYCのみが該当し後者はPayPayなど~Pay系のサービス全般、Suica/PASMOなど様々なサービスが含まれますが、主な違いは払い戻しの可否・使い道・仕組みなどです。
| 項目 | 電子決済手段(例:JPYSC) | 前払式支払手段 (例:~Pay系サービス、Suica/PASMO・QUOカード・オンラインゲームのコインなど) |
|---|---|---|
| 法律上の位置づけ | 資金決済法上の電子決済手段 | 資金決済法上の前払式支払手段 |
| 具体的なサービス | 現状はJPYSC・JPYCのみ | PayPayマネーライト・交通系電子マネー・ギフトカードなど |
| 払い戻し(償還) | 可能 | 原則として払い戻し不可が基本(例外あり) |
| 送金・流通のしやすさ | 不特定の相手への移転・流通が可能 ※将来的に移転可となる見込みだが現状は出庫不可 |
基本は加盟店での支払い用。流通性は限定的 |
| 使い道 | 大口決済・レンディングによる資産運用・オンチェーンFXなど | 加盟店での決済手段・公共料金の請求書払い・他のユーザーへの送金(譲渡)など |
| 仕組み | ブロックチェーン技術を使い、第三者間で移転しやすい設計 ※将来的に移転可となる見込みだが現状は出庫不可 |
事業者のアプリやカード内で管理されるプリペイド残高 |
| わかりやすい例え | 「ネット上で動かせる円」 | 「チャージして使う電子財布」 |
※補足:PayPayは残高の種類によって法的位置づけが異なります。一般に「PayPayマネーライト」は前払式支払手段、「PayPayマネー」は資金移動業に基づくサービスとして整理されます。
1-3 開発・流通を担うSBI VCトレード/Startale Groupとは

JPYSCの開発・流通で重要な役割を担うのが、SBI VCトレードとStartale Groupです。
SBI VCトレードはSBIグループの企業で、暗号資産交換業や電子決済手段等取引業などを手掛けています。JPYSCでは流通を担当しており、サービス開始時点では同社の口座内でJPYSCの取引サービスが提供されています。
一方、Startale Groupは渡辺創太氏がCEOを務めるシンガポール発のWeb3企業です。ブロックチェーンインフラやオンチェーンアプリケーションなどの開発を手掛けており、JPYSCをSBIホールディングスと共同開発しました。
JPYSCでは、SBIグループが持つ金融分野の基盤と、Startale Groupが持つブロックチェーン技術の知見を組み合わせています。
2.ステーブルコインJPYSCとJPYCの違い

JPYSCとJPYCは、どちらも日本円と連動する円建てステーブルコインですが、発行の仕組みや現在の利用環境には違いがあります。
最大の違いは、法的なスキームです。JPYSCはSBI新生信託銀行が発行する「信託型」のステーブルコインで、第3号電子決済手段に該当します。100万円の送付・滞留などの制限を受けないため、法人間決済やオンチェーンFX、RWA取引など、大口の資金移動への活用も期待されています。
一方、JPYCはJPYC株式会社が資金移動業者として発行する資金移動型のステーブルコイン(第1号電子決済手段)です。発行・償還には100万円の上限があり、1回あたり100万円を超える額の発行、および1日あたり100万円を超える額の償還ができません。
また、JPYSCは現時点ではSBI VCトレードの口座内でのみ利用でき、外部への出庫はできません。将来的には外部ウォレットへの出庫やパブリックチェーン上での流通が予定されています。
JPYCはすでにイーサリアムやポリゴン、アバランチ(AVAX)などのパブリックブロックチェーン上で流通しています。以下の表にて両者の違いをまとめましたのでご覧ください。
| 項目 | JPYSC | JPYC |
|---|---|---|
| 法的な類型 | 信託型(第3号電子決済手段) | 資金移動業型(第1号電子決済手段) |
| 発行体 | SBI新生信託銀行株式会社 | JPYC株式会社 |
| 裏付け資産 | 銀行預金・日本国債 | 銀行預金・日本国債 |
| 100万円の制限 | なし | あり |
| 使い道 | 大口決済・国際決済・RWA決済・オンチェーンFXなど | AIによる運用・仮想通貨トレード・決済手段など |
| 対応チェーン | イーサリアム(順次拡大予定) ※現時点ではSBI VCトレード口座からの出庫は不可 |
イーサリアム・ポリゴン・アバランチ・カイア(順次拡大予定) |
3.ステーブルコインJPYSCの6つの特徴

ここからは、JPYSCの特徴についてそれぞれ詳しく見ていきましょう。
3-1 日本円と連動するため価格が安定しやすい

JPYSCは、日本円と連動する(1JPYSC=1円となる)ように設計されたステーブルコインです。
仮想通貨は一般的に値動きが大きいことで知られますが、ステーブルコインのJPYSCは大きく価値が変動しにくいため決済や送金のたびに価格変動を気にせず使いやすいメリットがあります。
さらに、円建てで把握しやすいため仮想通貨よりも会計・税務の整理がしやすい点もメリットと言えます。もっとも、取引内容によっては個別の税務判断が必要になるため、実務では税理士等の専門家に確認しましょう。
3-2 日本初の信託型円建てステーブルコイン
JPYSCは信託型(第3号電子決済手段)というスキームで発行される日本初のステーブルコイン。SBIホールディングスとシンガポールのフィンテック企業Startale Groupが共同開発し、SBI新生信託銀行が発行を担います。
日本の厳格な金融規制・銀行法を遵守したスキームで発行されるため、安心して取引できます。
また、資金移動業型(第1号電子決済手段)のJPYCとは異なり、信託型のJPYSCは売買・出庫などに100万円という上限は設けられていません。
3-3 大口決済に強み

信託型のJPYSCは売買・出庫の上限がないため大口の取引にも適しています。大口決済や企業間取引、クロスボーダー決済、RWA決済などにおいて短期間の大規模な資金移動が可能です。
SBI VCトレードでも一度に大量のJPYSCの購入・出庫に対応できるよう準備しているといいます。
3-4 ブロックチェーンで迅速な送金と安価な手数料を実現

JPYSCは現状、SBI VCトレードから出庫はできませんが、当局の確認を前提として将来的に出庫可能となる見込みです。
ブロックチェーン上(現状はイーサリアムのみ)で発行・移転されるため、従来の銀行振込よりも速く、安価に送金できます。イーサリアムネットワークの場合は送金にかかる時間は十数秒、ガス代(ネットワーク手数料)は数円程度と見られます。
日本円建ての価値を保ったまま、ネットワーク上で迅速かつコストを極限まで抑えて送金できる強みがあります。
3-5 多様な使い道
JPYSCは、単に保有するだけではなく、ブロックチェーン上の利点をいかした様々な用途が考えれらます。
詳しくは「4.ステーブルコインJPYSCの使い道」で解説しますが、武器とする大口決済のほかにも店舗決済、オンチェーンFX、レンディングによる資産運用など多様な使い道が想定されています。
3-6 取引所が倒産しても資産は全額返還される
日本の法令上、電子決済手段は発行分の101%分の日本円および国債を国や信託銀行等に預けることが義務付けられています。
発行分を超える額の資産がSBI新生信託銀行に保全されているため、万が一取引所を運営するSBI VCトレード社が倒産したとしてもSBI新生信託銀行や国の財政が破綻しなければユーザーの資産は守られるということです。
4.ステーブルコインJPYSCの使い道

この章では、発行体や利活用を見込む企業が発表しているJPYSCの想定される使い道を紹介します。
4-1 大口決済やクロスボーダー決済
先述の通り、信託型のJPYSCは売買や出庫の上限がないため大口決済やクロスボーダー決済に強みを発揮します。
ブロックチェーン技術により、コスト低減・決済時間の短縮といった利便性の高い決済を実現できるでしょう。
各国・地域の規制や市場環境を踏まえつつ、送金・決済事業者等との連携を模索していくとのことです。
4-2 RWA(現実資産)決済

RWA(リアルワールドアセット:現実資産)は、株式、債券や不動産などの実物資産をブロックチェーン上でトークン化したもの。
実物資産をトークン化する動きが進みRWAが一つの大きな市場を形成するなかにおいて、JPYSCをトークン化資産の決済手段として活用することも想定されています。
主要なトークン化プラットフォームや市場インフラとの連携を通じて、ブロックチェーン上での資産取引と円建て決済をつなぐ基盤の構築をもあわせて検討されています。
4-3 国内店舗決済
SBIグループは、国内の決済ネットワーク・カード発行会社・加盟店精算インフラ等との連携を通じて商業・小売決済領域におけるJPYSCの活用を検討しています。
また、将来的には事業者間決済・加盟店精算・消費者向け決済など幅広い国内決済シーンにおける利用拡大を目指す方針も示しています。
4-4 オンチェーンFX
同グループはオンチェーン外国為替市場における円・ドル間の流動性供給等も将来的なユースケースとして想定しています。
「JPYSCの借入・貸付市場の形成を通じて、円建て資金の新たな運用・調達機会の創出を目指す」とも述べています。
実際、先行事例としてJPYC社が発行する円建てステーブルコインJPYCは米Circle社のオンチェーンFX網「StableFX」の日本円パートナー通貨に採択されており、USDCなどのグローバルなステーブルコインとの交換が可能になる取り組みが進められています。
4-5 レンディングによる資産運用

SBI VCトレードのレンディングサービス「貸コイン」を通じて保有するJPYSCを貸し付けることで年率1〜3%程度(通常時)での資産運用が可能です。
銀行の円定期預金の場合、一般的な年率水準は0.325~1%程度です。JPYSCのレンディングであれば銀行の円定期預金よりも高い年率水準に設定されていることがわかります。
なお、年間の雑所得額が20万円以下で、他の雑所得がない等の一定の条件を満たせばJPYSCのレンディングで付与された報酬は確定申告の対象外です。銀行の定期預金の利息は、所得に関係なく一律約20%の源泉分離課税ですが、JPYSCレンディングの収益は雑所得として総合課税扱いとなります。
5.ステーブルコインJPYSCの注意点

ここまで、JPYSCが秘める可能性や利便性の高さを強調してきましたが、購入する前に知っておきたい注意点もあります。
それは、主に以下の4点です。
5-1 ブロックチェーンネットワークの安定性やセキュリティに依存
JPYSCはブロックチェーン上で発行・移転されるため、利便性が高い一方で、ブロックチェーンネットワーク(現状はイーサリアムにのみ対応)の安定性や安全性に影響を受けます。
ネットワーク上で障害が発生し一定時間JPYSCを動かせなくなったり、セキュリティの脆弱性を突かれサイバー攻撃による不正流出を許すなどの可能性も考えられます。
JPYSCの送受信や利用のしやすさ、安全性などは土台となるブロックチェーンの安定性・安全性等に左右されるという側面があります。
5-2 現状は外部ウォレットへの出庫不可
JPYSCはパブリックチェーン上での流通を前提として発行されたステーブルコインではありますが、現状SBI VCトレードにおけるJPYSCの入出庫には非対応です。
「監督当局の確認を前提としてできるだけ速やかに国内外においてパブリックチェーン上での流通を可能とする体制への移行を目指す」と説明されています。
5-3 レンディング中は中途解約・売却不可
JPYSCのレンディングは、SBI VCトレード社にJPYSCを貸し出すことで期間満了後に報酬が付与されるサービスであり円預金とは異なります。
したがって、貸出期間中は原則として中途解約やJPYSCの売却もできない点に注意しましょう。
5-4 元本割れリスク
JPYSCは日本円と1:1で価値が連動するステーブルコインですが、完全に元本が保証されるわけではありません。
JPYSCの裏付け資産の一部には日本国債が活用されていますが、国債の時価変動や急激な償還対応による売却損などにより、理論上は裏付け資産の価値が目減りして元本割れを起こすリスクが存在します。
ただし、法律で定められた分別管理や厳格な資産運用により、そのリスクは低く抑えられていると言えるでしょう。
6.ステーブルコインJPYSCの買い方

ここまでステーブルコインJPYSCについて様々な角度で解説してきました。
ここでは、実際にJPYSCを購入する方法を紹介します。以下の手順でJPYSCを購入できます(JPYSCを取引できるのはSBI VCトレードのみ)。
- SBI VCトレードで口座開設
- 口座に日本円を入金
- 販売所でJPYSCを購入する

なお、JPYSCの購入にあたり、実質的な手数料であるスプレッド(売買価格の差)はありません。余計なコストをかけることなく購入できるのも魅力です。
7.ステーブルコインJPYSCはこんな人におすすめ

JPYSCは、日本円の価格安定性を維持しながら、ブロックチェーンを活用した送金や決済を利用したい人におすすめのステーブルコインです。
特に、大口の資金移動を行う法人や事業者、将来的にクロスボーダー決済やRWA取引、オンチェーンFXなどを利用したい人とは相性がよいでしょう。信託型の仕組みを採用しており、100万円の送付・滞留などの制限を受けない点も、大口決済を想定するユーザーにとって大きなメリットです。
また、仮想通貨の値動きが苦手で、より価格が安定したデジタル資産を保有したい人にも向いています。
一方、現時点ではSBI VCトレードの口座外へ出庫できないため、すぐに外部ウォレットやDeFi(分散型金融)で利用したい人には不向きです。ただし、今後はパブリックブロックチェーン上での流通も予定されています。
将来的なオンチェーン金融の普及を見据えて、円建てステーブルコインを早い段階から利用してみたい人にも注目の銘柄といえるでしょう。
参考:JPYSC公式サイト
参考:【2026年最新】JPYSCとは|日本初の信託型日本円建てステーブルコインの仕組み・JPYCとの違い・将来性を解説
仮想通貨ブロガー/投資家
早稲田大学卒|元業界関係者で現coindog編集長🐶|2020年から仮想通貨投資を開始|大手メディア3社で編集者・キュレーターとして従事→独立|趣味は投資・筋トレ・音楽鑑賞・ラップバトル観戦・コーヒー屋さん巡り