※本記事はプロモーション広告を含みます。
金融庁、仮想通貨関連のパブコメに回答
金融庁は24日、暗号資産(仮想通貨)交換業者に関する事務ガイドラインの改正案に対して寄せられたパブリックコメントに対する見解、および改正概要を公表した。
主な改正概要は以下の通り。
- ブロックチェーン上で発行される各種トークンが仮想通貨に該当するかいなかに関する解釈の明確化
- ビジネスモデルの多様化を踏まえた仮想通貨交換業者への監督上の対応
- 仮想通貨交換業者の主要株主が他の事業者に株主を譲渡し、仮想通貨交換業者を売却・譲渡する場合などの、仮想通貨交換業者への監督上の対応など
以下では、事務ガイドラインの改正案の内容とパブリックコメントに対する金融庁の見解について、重要と思われる部分を解説する。
仮想通貨の範囲と該当性
事務ガイドラインの「暗号資産の範囲及び該当性の判断基準」の項目では、以下の2つの条件を満たす場合は、原則として各種トークンは仮想通貨に該当しない旨の記述が追記された。
- 発行者が不特定の者に対し、物品などの代価の弁済のために使用されない意図であることを明確にしていること(例えば、規約や商品説明で決済手段としての使用の禁止を明示している、あるいは決済手段として使用されない仕様となっていること)
- 当該財産的価値の価格や数量、技術的特性・仕様などを総合考慮し、不特定の者に対して物品等の代価の弁済に使用し得る要素が限定的であること(例えば、以下のいずれかの性質を有すること)
- 最小取引単位当たりの価格が通常の決済手段として用いるものとしては高額であること
- 発行数量を最小取引単位で除した数量(分割可能性を踏まえた発行数量)が限定的であること
上記に関しては各種NFT(非代替性トークン)が仮想通貨に該当する条件を明確化する意図で追記されたものとみられる。
関連記事:日本政府も有力視するNFTの全容|なぜデジタル作品が数十億円に?
条件2で例示された性質については、「最小取引単位当たりの価格が高額とはいくら程度か」「発行数量を最小取引単位で除した数量(分割可能性を踏まえた発行数量)が限定的とはどの程度の数量か」という質問が寄せられたが、金融庁は「例えば1000円以上のものは、最小取引単位当たりの価格が通常の決済手段として用いるものとしては高額といえる」「例えば100万個以下である場合には、限定的といえる」と回答した。
以上のことから、「最小取引単位当たりの価格が1000円以上のもの」や「発行数量を最小取引単位で除した数量が100万個以下のもの」は仮想通貨に該当しないとの一つの基準が示されたと言える。
なお、上記の2つの条件を満たさないことをもってただちに仮想通貨と該当するわけではなく、例外となるケースもあるため個別具体的に判断する必要があると付言している。
IEOに言及
「ICOへの対応」の項目では、仮想通貨交換業者が自らトークンの発行・販売を行うケースを「自社型ICO(イニシャル・コイン・オファリング)」、仮想通貨交換業者が発行者に代わりトークン販売を行う、一般的にIEO(イニシャル・エクスチェンジ・オファリング)と呼ぶケースを「第三者型ICO」と呼んでいる。
いずれのケースにおいても、利用者保護などの観点から留意する点として以下の内容が追記された。
トークンの販売状況等の把握は、利用者保護等の観点から、その必要性を踏まえ対応するものとする。また、販売直後は大きく価格が変動することが多いことから、販売から1年間は重点的に行うものとする。
国内では、コインチェックが2021年7月に実施した「パレットトークン(PLT)」、2023年2月~3月に実施した「フィナンシェトークン(FNCT)」のIEO、GMOコインが2022年4月~5月に実施した「FCRコイン(FCR)」のIEOの先例がある。
そのうち、FCRとFNCTのIEOに関しては、上場後ほどなくして販売価格を割っている。FCRのIEOでは金融市場の地合いの悪さに加え、GMOコインが上場直後に事前告知のなかった取引上限を発表し、上場から1時間半後に上限を引き上げたことにより投資家の間に混乱を生じさせた。
FNCTのIEOでは、価格が大幅下落した際、コインチェック側が保有するFNCTを大量に売却した可能性が指摘されている。
その他多数の国内取引所がIEO参入・検討を表明しており、今月にはcoinbookとDMMビットコインがIEO第1弾「Nippon Idol Token(NIDT)」の購入申込開始を、CoinBestがIEO実施予定を発表している。
関連記事:仮想通貨取引所CoinBestがIEO参入、第一弾は「DARトークン」
関連記事:coinbook・DMMビットコインIEO第1弾「Nippon Idol Token(NIDT)」、29日より購入申込開始
仮想通貨の新サービスへの対応
「新規サービス(新商品・新規業務)への対応」の項目では、デジタル技術の進展により関連ビジネスが急速な変化を遂げつつある現状を念頭に、仮想通貨関連の新たなサービスの提供については、当局として利用者保護とイノベーション促進のバランスに留意しつつ、以下のような点の確認を行うとした。
- 仮想通貨交換業者自らが、利用者保護や法的観点から問題点の検討を行うとともに、リスクを洗い出しているか。リスクに対し、十分な対策を講じているか
- 新規サービスの内容に応じた社内規程、顧客向け商品説明資料の策定や人員の配置など、適切に内部管理態勢が整備されているか
- 営業推進部門から独立した立場からの適切な事前審査を行った上で、取扱いの可否の決定を行っているか。経営陣の関与は適切か
関連記事:自動でビットコインが貯まる「bitFlyerクレカ」とは|国内初サービスを解説
株式譲渡における留意点
「株式譲渡における留意点」という項目では、仮想通貨交換業者の主要株主が他の事業者に株式を譲渡し、仮想通貨交換業を売却・譲渡するケースについて、「株式譲渡後も適切に業務を遂行できる態勢となっているかについて留意する必要がある」とする。
具体的には、当局として「仮想通貨交換業者との日常的なコミュニケーションを通じて、それらの情報を把握するよう努めるほか、届出を受理後、ガバナンスや法令遵守態勢など内部管理態勢全般に関し、仮想通貨交換業者の役員とのヒアリングも踏まえ、その適切性を検証する」と説明した。
国内では、仮想通貨取次業務を行うサクラエクスチェンジビットコインが2022年11月に、世界最大手仮想通貨取引所バイナンスを運営するBinance (AP) Holdings Limitedに買収されたことが明らかになっている。
◆お知らせ◆
2022年11月30日(水)開催の株主総会において、当社株主の変更および役員の変更を決議いたしました。
これに伴い、2022年11月30日(水)より新経営体制へ移行することをお知らせいたします。
当社お知らせへ詳細を掲載しておりますのでご確認ください。https://t.co/MHgLcN5Phk— 株式会社サクラエクスチェンジビットコイン (@SEBC_Inc) November 30, 2022
参考:金融庁①
参考:金融庁②