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投機と実需のはざまにある資産「銀(シルバー)」
ビットコイン(BTC)をはじめとする暗号資産(仮想通貨)が注目を集める一方で、現物資産としての「銀(シルバー)」への関心も再燃しています。
インフレや通貨不安への備えとして、金(ゴールド)と並んで長く資産防衛の手段とされてきたシルバーは、実は工業用途の需要も高く、その価値は時代とともに進化しています。
本記事では、銀の基礎知識から投資手段、金・白(プラチナ)との比較、さらには仮想通貨「ジパングコインシルバー(ZPGAG)」まで、現代のシルバー投資をやさしく解説。
株式やビットコインなど仮想通貨一辺倒だった方も、銀の可能性に目を向けてみてはいかがでしょうか?
- なぜ、今「銀(シルバー)」なのか
- 1-1 銀(シルバー)の価格推移
- 銀(シルバー)の基本
- 銀(シルバー)投資のメリット/デメリット
- 3-1 銀(シルバー)投資の5つのメリット
- 3-2 銀(シルバー)投資のデメリット
- 金(ゴールド)・銀(シルバー)・白金(プラチナ)の特徴を比較
- 銀(シルバー)の将来性
- 銀(シルバー)投資「7つの入り口」と始め方
- 6-1 地金(インゴット)・コイン
- 6-2 純銀積立
- 6-3 投資信託・ETF
- 6-4 銀鉱株投資
- 6-5 銀価格に連動する仮想通貨
- 6-6 CFD取引
- 6-7 銀先物取引
- 銀(シルバー)投資の注意点
- 銀×仮想通貨「ジパングコインシルバー」とは
- まとめ:価値と成長の両翼をもつ資産、銀(シルバー)を未来にいかす
目次
1.なぜ、今「銀(シルバー)」なのか
近年、投資対象としての銀(シルバー)が再度、脚光を浴びています。その最大の理由は、価格の上昇基調と、それを支える複数の構造的な要因にあります。
かつては「金(ゴールド)の代替資産」として語られることが多かった銀ですが、現在ではその独自の特性が評価され、投資対象として独立した存在感を放っています。
まず第一に、産業用途の拡大が挙げられます。特に電気自動車(EV)や太陽光発電パネルといったグリーンテクノロジーの普及が進む中で、銀の導電性や反射性といった特性が不可欠な素材として再評価されています。実際、1台のEVには通常の自動車の2~3倍の銀が使用されるとされており、再生可能エネルギー社会の進展が中長期的な需要増を後押ししています。

加えて、世界的なインフレ懸念と通貨不安も銀価格の追い風となっています。実物資産である銀は、紙幣価値が下落する局面において価値保存の手段と見なされやすく、金と同様にインフレヘッジの役割を果たすことが期待されています。特に、金と比べて価格が安価なことから、「小口で実物資産を持ちたい」という投資家層にも広く受け入れられています。
さらに、鉱山供給が需要に追いつかず、供給不足の懸念も市場を刺激しています。近年は環境規制やコスト高により新規鉱山の開発が抑制される一方で、上述の通り需要は拡大傾向にあり、需給バランスの逼迫が価格上昇を支える構造的な要因になっています。
こうした複合的な背景のもと、「資産保全」と「成長産業への投資」の両側面を持つ銀は、今まさに注目を集める存在となっているのです。価格変動の大きさゆえにリスクもありますが、それゆえに投資妙味のある資産として位置づけられつつあります。
1-1 銀(シルバー)の価格推移

銀価格の長期的な推移は、以下の4つの局面に分類できます。
- 1970年代後半〜1980年:急騰期
- 1980年代半ば~1999年:長期低迷
- 2000年~2011年:長期上昇
- 2012年~現在:乱高下と再評価の時代
1-1-1 1970年代後半〜1980年:急騰期
1970年代半ば~の上昇の引き金となったのは、1973年10月に発生した第1次オイルショックです。同年に発生した第4次中東戦争をきっかけとしてOPEC(石油輸出国機構)は原油の供給制限と輸出価格の大幅な引き上げを実施。これが石油関連製品の値上げに繋がり、世界に急激なインフレをもたらしました。
需給逼迫を見越した巨額の投機マネーが市場に流入したこともあいまって、原油のみならず金・銀を含めた商品相場全体が急騰します。追い打ちをかけるように、5年後の1978年にはイラン革命勃発により第2次オイルショックが発生。原油価格は再び急騰し、インフレが加速します。金・銀など商品価格は一段と大きな上昇カーブを描きました。
1970年代前半までは1オンス=1ドル台だった銀価格は、第1次オイルショック後の1974年には7ドル台、そして第2次オイルショックを経て1979年には約20ドルまで上昇しました。
さらに、1979年~1980年の期間、銀は過去に類を見ない乱高下を見せます。これは、米国テキサス州のハント兄弟らが画策した銀の価格操作事件によるものです。銀価格が割安と見たハント兄弟はアラブの石油富豪らと結託し、6200トンもの銀を買い占めました。
これにより、銀価格は1オンス6ドルから瞬く間に52.5ドルまで急騰。しかしその後、世界中の銀製品が鋳つぶされ市場に大量流入したこと、取引所がシルバー取引に制限をかけたことなどにより、投資意欲が急速に冷え込みます。急騰からわずか数週間後の1980年1月には反落し、10ドル台まで暴落しました。
この事件は、1970年代から始まった空前の商品投資ブームに終焉をもたらしただけでなく、銀相場が限られた市場参加者の思惑により容易に操作されてしまうリスクを浮き彫りにしました。
1-1-2 1980年代半ば~1999年:長期低迷
1980年のバブル崩壊後、銀価格は約20年間にわたり5〜7ドル台で横ばい推移。この時期は「歴史的な安値圏が続いた期間」であり、市場関係者の間では「銀の冬の時代」とも呼ばれます。
これには、複数の背景があります。一つは、先述のハント兄弟事件による急落で、市場への信用が完全に失墜したことによります。多くの個人・機関投資家が損失を被り、「銀=危険な投機資産」という認識が根付きました。
2つ目は、2つのオイルショックがもたらした世界的なインフレを抑制するために、米FRBポール・ボルカー議長が高金利政策を行ったことです。これによりインフレは沈静化したものの、副作用として景気後退を招いたほか、利子を生まない金や銀から資金が流出し債権や預金が選ばれるようになりました。
ちなみに、1997年には著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイが銀を大量購入(約1億2970万オンス)したことで、銀価格は約50%高騰しています。
しかし、上昇は長続きせず、1年程度で購入が判明する前の5ドル台の水準に下落。この出来事もハント兄弟の事件と同様、銀の市場規模の小ささとボラティリティの激しさを物語っています。
1-1-3 2000年台~2011年:長期上昇
2000年以降、銀は上昇トレンドに入ります。要因の一つに、中国・インドなど新興国の急成長により金属・資源需要が世界的に拡大したことが挙げられます。銀も、電子部品・溶接・太陽光などの産業用途での需要が急増しました。
2003年10月までは1オンス500円~550円の横ばいでしたが、以降は上昇カーブを描きます。2005年後半から急激な上昇を始め、2006年3月に1オンス10ドル台の高値を付けました。その後大幅な調整はあったものの、3倍以上もの値上がりを示したことになります。それ以前の20年間には見られなかった顕著な上昇です。
2005年後半から2006年にかけて急激な価格上昇を遂げた主な要因は、2006年に世界初の銀ETFが米国で上場したことです。それまで銀投資は現物や先物が中心でしたが、ETFにより一般投資家が簡単に現物ベースで銀にアクセスできるように。ETFによる現物需要の急増が、価格を直接押し上げる構造を形成しました。
また、2008年に発生したリーマン・ショックも銀の長期的な価格上昇を手伝いました。未曾有の金融危機に、米FRBはゼロ金利政策を実施したことでドル安が進行。インフレヘッジとして供給量が限られる金・銀などが買われる結果に。
その後も、米FRBの大胆な金融緩和政策などにより資金流入が加速する形で銀は上昇カーブを描きます。2011年には1980年の高値に迫る50ドル付近まで高騰しました。しかし、その後はテーパリング観測の高まりや先物市場での投機的ポジションの急増などにより、同年5月より反落。再びバブルが弾け、この年のピーク時の半値近くまで戻しました。
1-1-4 2012年~現在:乱高下と再評価の時代
その後、銀価格は10年以上にわたって乱高下を繰り返しながらも、一定の下値を維持しつつ再評価される展開に入りました。
2011年の「銀バブル」崩壊後、価格は2013年には20ドルを割り込み、2015年には15ドル台まで下落するなど、安値圏での停滞が続きました。特に2013年の米FRBによるテーパリング発言、いわゆる「バーナンキ・ショック」によって、インフレ懸念が後退し、金とともに銀も大きく売り込まれました。
しかし、2015年を底に価格は徐々に下げ止まり、構造的な産業需要の成長期待が下値を支え始めます。銀はもともと電子部品や太陽光パネルに必要な素材であり、世界的なエネルギー転換や脱炭素の流れとともに注目される存在となっていきました。
その転機となったのが、2020年のコロナショック後です。世界中が金融緩和に踏み切り、米ドルが弱含む中で、実物資産としての金や銀が再評価されました。銀は2020年夏に一時29ドル台まで急騰し、わずか半年で約2倍の値動きを記録。
その後、2021〜2022年にかけてインフレ率の上昇や金利の正常化により調整を挟みつつも、銀価格は20ドル台前半を大きく割り込むことなく、底堅く推移。再度上昇に転じると、2023年以降は力強い上昇が続き、2025年6月時点で1オンス=30ドル台に達しています。
2023年以降の上昇トレンドの背景には、加速しつつあるインフレへのヘッジ、米中摩擦やウクライナ情勢、中東情勢など地政学リスクの高まり、ソーラー・電子機器を中心とする工業用途の需要拡大などが挙げられます。
2.銀(シルバー)の基本
銀(シルバー)は、金や銅と並ぶ代表的な貴金属の一つで、古代から装飾品や通貨として利用されてきました。
最大の特徴は、全金属中で最も高い電気・熱伝導性を持つこと。この性質により、産業用途で非常に高いで需要があります。特に電子部品、太陽光パネル、医療分野などで不可欠な素材として活躍しており、金のように単なる「価値の保存手段」にとどまらず、「現代産業を支える資源」としての役割も果たしています。
投資対象として見ると、銀は金に比べて価格が低く、小口での投資がしやすいというメリットがあります。また、実物資産としての希少性を持ちながらも、産業需要の変化によって価格が大きく動くため、金よりもボラティリティが高いのが特徴です。
そのため、短期的なリターンを狙う投資家にも注目されやすい存在となっています。インフレヘッジや有事の備えとしての役割も果たしつつ、成長産業の需要に支えられている点は、他の貴金属にはない銀独自の強みといえるでしょう。
3.銀(シルバー)投資のメリット/デメリット
金とは異なる魅力とリスクをあわせ持つシルバー投資。
そのメリットとデメリットを正しく理解することが、賢い資産運用への第一歩となります。
3-1 銀(シルバー)投資の5つのメリット
まずは、銀(シルバー)投資のメリットを5つ解説します。
3-1-1 少額から始められる手軽さ
銀は1gあたり200円以下(執筆時点)と、金に比べてはるかに安価です。たとえば純銀コインやインゴットは、初心者でも1枚・1本単位で手軽に購入できます。
また、ネット証券や貴金属販売店では、毎月定額で積み立てるサービスもあり、「まずは実物投資を始めてみたい」という人に最適なエントリーポイントとなっています。
3-1-2 インフレヘッジができる
銀は紙幣のように無制限に発行されるものではなく、金と同様に採掘量や地上在庫に制約のある有限資源です。
世界的な経済不安やインフレ局面では、銀も「価値が目減りしにくい資産」と見なされています。金ほどではないにせよ、インフレ時の資産の退避先として選ばれやすいです。
3-1-3 産業需要に支えられた価格上昇の可能性
銀は全需給のうち50%以上が工業用途で消費されており、その多くがエレクトロニクス、太陽光発電、医療機器などの成長分野です。
特に、再生可能エネルギー社会や電気自動車の普及に伴い、導電性・抗菌性などの特性を活かした使用が増えると予測されています。つまり、「世界の構造変化」とともに、実需による価格の押し上げ圧力が働くというわけです。
3-1-4 金と連動しやすく相場のレバレッジ的な動きも
銀は歴史的に金と価格の動きが似ており、金価格が上昇する局面では銀もつられて上昇する傾向があります。
しかし、銀の方が市場規模が小さく投機性も高いため、上昇局面ではより大きな伸びを見せることが多いです。いわば金の「ハイボラティリティ版」として、相場の波を積極的にとらえたい投資家にとっては魅力的な対象となります。
3-1-5 「ゴールド・シルバー・レシオ(GSR)」を活用した戦略的投資が可能
ゴールド・シルバー・レシオ(GSR)は、「金1オンスの価格 ÷ 銀1オンスの価格」で計算される指標で、歴史的には平均60〜70前後で推移してきました。
たとえばこの比率が80や90を超えると、「銀が金に対して割安」と判断されることがあります。レシオを活用することで、相対的な割高・割安を見極めた投資判断ができる点も、銀投資の奥深さと言えるでしょう。
3-2 銀(シルバー)のデメリット
一方で、銀(シルバー)投資には以下のようなデメリットもあります。
3-2-1 利息や配当が得られない
銀は株式や債券と異なり、保有していても金利がつかず、配当ももらえません。つまり、価格が上昇しなければ利益は得られず、投資成果は「売却益」に依存する形になります。
そのため、金利が高くなる局面では、利回りのある資産と比べて相対的に魅力が薄れることもあります。特に長期運用を前提とする場合、資産全体の成長性とのバランスを考慮する必要があります。
3-2-2 価格変動が大きくリスクが高い
銀は金よりも市場規模が小さく、投機的な売買の影響を受けやすいため、価格変動が非常に大きいのが特徴です。
たとえば、同じように金と連動して動く局面でも、銀はその2〜3倍以上の値動きをすることもあり、大きな利益が狙える一方で、大幅な下落による損失リスクも抱えています。特に短期投資の場合は注意が必要です。
3-2-3 工業需要に依存しており景気変動の影響を受けやすい
銀の需要の半分以上は産業用途(電子部品、太陽光、医療など)に集中しています。そのため、景気後退や製造業の停滞が起こると、需要が急減し、価格が下落しやすいという側面があります。
これは「安全資産」としての金とは大きく異なる点であり、インフレや不況などの局面では逆風になる可能性もあります。
3-2-4 保管や管理に手間がかかる
銀は金よりも体積あたりの価格が低いため、同じ金額を保有する場合でも、より多くの量を保管する必要があるという問題があります。
特に現物で保有する場合は、保管スペースや湿気・酸化への対策が必要であり、安全な保管環境や信頼できる業者の利用が不可欠です。金のようにコンパクトに保管できるわけではありません。
3-2-5 中央銀行の保有がなく、国際的な信認は低め
金は各国の中央銀行が保有し、準備資産として国家レベルでの信頼を集めていますが、銀にはそのような位置づけはありません。
国家による買い支えが存在しないため、価格が下落した際の底堅さに欠ける点は、長期保有の安定性という観点でマイナス要素となります。
4.金(ゴールド)・銀(シルバー)・白金(プラチナ)の特徴を比較

本章では、金・銀・プラチナという代表的な貴金属3種を比較することで、銀投資の立ち位置を明確にしていきます。
まず価格面では、金が最も高価であり、資産保全目的での保有が中心です。銀は金に比べて遥かに手頃な価格で、少額からの投資が可能です。プラチナは金よりやや安いものの、需給が偏っており価格は変動しやすい傾向にあります。
用途を見ても、金は主に価値の保存手段・準備資産として用いられ、銀は産業用途とのハイブリッド資産、プラチナは工業用途と特に自動車触媒に強く依存しています。
ボラティリティの面では、銀とプラチナはいずれも価格の振れ幅が大きく、相場の急変にさらされる可能性も高いため、リスク許容度に応じた投資判断が求められます。また、中央銀行が保有するのはほぼ金のみであり、銀やプラチナにはそのような需給の安定要因がない点も注目すべきです。
特徴/項目 | 金(ゴールド) | 銀(シルバー) | 白金(プラチナ) |
---|---|---|---|
主な用途 |
宝飾品 |
|
|
ボラティリティ |
小さい |
大きい |
大きい |
主な価格変動要因 |
|
|
|
インフレ耐性 |
高い |
やや高い |
限定的 |
中央銀行の保有状況 |
保有している |
保有していない |
保有していない |
産出国・供給集中度 |
分散(中国・豪州・ロシア・アフリカ諸国など) |
分散(メキシコ・中国・南アフリカ諸国など) |
高集中(大半を南アフリカに依存) |
メリット |
|
|
|
デメリット |
|
|
|
4-1 銀(シルバー)がもつ「中庸の魅力」
こうした中で、銀は「インフレにある程度強く、かつ産業需要もある」というユニークな特徴をもち、リスクとリターンのバランスを取る上で魅力的な存在と言えます。
金のような絶対的な安全資産ではないものの、プラチナのように産業依存が過度でもない、ちょうど中間的な立場にあるといえるでしょう。
これらの比較を通じて、銀が他の貴金属と異なる独自の可能性を秘めた資産であることが見えてきます。自身の投資スタイルや市場環境に応じて、貴金属ポートフォリオにどう組み込むかを検討する一助としてください。
5.銀(シルバー)の将来性
脱炭素社会の進展やテクノロジーの革新により、脚光を浴びる銀。
この章では、銀の将来性を左右する要因とその見通しを多角的に解説します。
5-1 再生可能エネルギーなど産業需要の拡大
銀の最大の需要源は工業用途であり、電子機器、太陽光発電パネル、電気自動車(EV)、医療機器などに広く使われています。
特に脱炭素化や再生可能エネルギーへの移行が進むなか、太陽光パネルに不可欠な素材としての需要が急増。EVの普及も、銀の導電性をいかした応用が進んでおり、今後10~20年単位での需要増が見込まれています。
5-2 地政学的リスクやインフレ動向
戦争や金融不安、物価上昇(インフレ)といった「有事」や「通貨不安」の局面では、金と同様に銀にも資金が流入しやすくなります。
特に、銀は金よりも価格が安く、小口資金が流れ込みやすいため、個人投資家による買い需要が集中しやすい傾向があります。中央銀行の信任は得ていませんが、「準・安全資産」としての存在感が出やすいです。
5-3 鉱山供給とリサイクルの動向
供給面では、銀は副産物(金・鉛・亜鉛の採掘時に出る)として産出される割合が高く、銀単体での増産が難しいという構造的な制約があります。
さらに、環境規制や資源ナショナリズムによって新規開発のハードルが上がっているのも背景にあります。
一方でリサイクル供給は技術面・コスト面の課題があり、需要の急増に追いつかない可能性があります。この構造的な供給不足は、価格上昇の要因とされています。
5-4 金との価格連動(ゴールド・シルバー・レシオ)
歴史的に銀価格は金と一定の相関関係を持つため、金価格が上昇する局面では銀も遅れて上昇する傾向があります。
また、「ゴールド・シルバー・レシオ(GSR)」という指標を使い、銀が相対的に割安な局面を狙った資金流入が発生しやすいです。金価格のトレンドが銀市場に波及するため、金の動向は銀価格の先行指標とも言えます。

5-5 投資需要の増加(ETF・仮想通貨の普及)
現物投資に加え、銀ETF(上場投資信託)やデジタル証券型商品の普及により、個人・機関投資家ともに銀へのアクセスが簡便になりました。
これにより、相場の変動時には大量の資金が短期間に流入・流出する可能性も高まり、価格への影響も大きくなっています。
今後はブロックチェーン技術を活用した銀連動型仮想通貨の拡大が予想され、新たな需要源となるかもしれません。
5-6 将来的な価格形成の見通しと識者の価格予想
銀の将来的な価格形成は、需要の拡大と供給の制約という二つの要因に支えられ、長期的には上昇傾向が見込まれています。
特に、再生可能エネルギーの拡大や電気自動車(EV)の普及により、銀の使用量は今後も増加が予想されます。銀は太陽光パネルや電子機器などに不可欠な素材であり、代替が難しい点も需要を下支えする要因です。
一方で、供給面では環境規制やコスト上昇により鉱山開発が抑制されており、銀は他の金属の副産物として産出されるため、価格が上がっても供給増にはつながりにくいという構造的な制約があります。また、銀は金と連動しやすく、インフレや地政学リスクの高まりによって投資マネーが流入する場面も見られます。
ただし、景気後退時には工業需要が減退し、価格が下落するリスクもあるため、短期的な変動には注意が必要です。長期視点での分散投資の一部として、銀は有望な資産といえるでしょう。
5-6-1 識者は銀価格に強気
マクロ経済学者で貴金属投資に精通するデビッド・モーガン氏は、2023年時点のインタビューにて、2020年代後半から2030年にかけて銀価格が大幅に上昇する可能性を指摘。具体的には、銀価格が1オンスあたり50~100ドル(1gあたり230円~460円)に達する可能性を示唆しています。
また、チャールズ・スパポドック氏は著書『世界が注目するシルバー投資』の中で、「工業用途に消費されたシルバーの大半が、地球上から消滅している」ことが銀の在庫不足に拍車をかけ、年々希少性が増しているため「価格が上がらない方が不思議」と指摘。「一時的な調整は何度か訪れるにしても、基本的には上昇トレンドを保ち続けるはず」と銀の長期的な価格上昇に強気です。
6.銀(シルバー)投資「7つの入り口」と始め方
銀(シルバー)投資には、現物を手にする方法から、価格変動を活用する金融商品まで、さまざまな入り口があります。
この章では、「銀投資の7つの代表的な手法」と、それぞれの始め方や特徴をわかりやすく紹介。自分に合ったスタイルで、無理なく銀のある資産運用を始めるヒントをお届けします。
なお、初心者には難易度とリスクが高いため、CFD取引と金先物取引については簡単な紹介にとどめます。
6-1 地金(インゴット)・コイン
もっとも「実物らしい」銀投資です。インゴット(銀地金)や銀貨を現物で購入・保有する方法で、資産を「手に取って持てる」安心感があります。
100gから数十kg単位まで幅広い重量で購入することができ、価格はスポット価格(国際市場の現在の金価格)に加工費やプレミアムが加算されます。
長期保有向きですが、保管コストや偽造品リスク、売却の手間を考慮する必要があります。
6-1-1 地金(インゴット)・コインの買い方
日本マテリアルなど貴金属専門店が運営するオンラインショップなどで購入できます。
保管は自宅の安全な場所または銀行の貸金庫を利用。売却時は貴金属商やリサイクル業者に持ち込みます。
6-2 純銀積立
毎月一定額を積み立てることで、ドルコスト平均法を用いた銀投資ができます。少額(1,000円〜)から始められ、価格変動リスクを平準化できるため初心者にも人気。
業者によっては、一定量に達したら銀地金として引き出すことも可能です。その際は、配送手数料が発生します。中長期でコツコツと投資したい人向きです。
6-2-1 純銀積立の始め方
SBI証券や楽天証券などの証券会社、三菱マテリアルなどの貴金属商で純金積立サービスの利用を申し込みます。それぞれ手数料や最小引出単位などが異なります。
ネット証券は買付手数料が安く、スプレッドが狭い傾向があるものの、現物の引き出し手数料が高く設定されています。一方、貴金属商は前者が割高で後者が安く設定されています。
6-3 投資信託・ETF
投資信託は、投資家から集めた資金を専門家が運用し、銀価格に連動する商品(例:銀ETFを組み込んだファンドや銀鉱株など)に投資する仕組み。物理的な銀を保有せず、間接的に銀価格の変動メリットを得られます。運用会社が信託報酬を徴収します。
ただし、現物の銀に投資するわけではないため、必ずしも銀価格に連動しない点には注意が必要です。また、銀鉱株の比率が高いファンドではハイリスクハイリターンになりやすいことも覚えおきましょう。
ETFは、株式市場で取引される投資信託の一種で、銀の現物価格に連動します。物理的な銀を裏付け資産として持ち、リアルタイムで取引可能。信託報酬は投資信託より低く、コスト面で最もおすすめできる投資方法です。
6-3-1 投資信託・ETFの買い方
投資信託やETFを購入するには、証券口座が必要です。証券会社で口座開設の手続きを済ませたら買付注文を行います。
おすすめ銘柄は、三菱UFJ信託銀行が運用するETF「金の果実シリーズ」の一つ「純銀上場信託(現物国内保管型)【1542】」です。一定量を保有していれば、受益証券と引き換えに現物の銀地金に交換できるという特徴があります。
なお、信託報酬は0.55%と、日本で購入できる銀ETFの中では最も高い設定ですが、新NISA成長投資枠が利用できます。
NISAでは上限はあるものの投資で得られた利益が非課税になるため、積極的に活用したいところです。SBI証券や楽天証券などでNISA口座を開くとよいでしょう。
6-4 銀鉱株投資
銀鉱株投資は、銀を採掘・生産する企業の株式への投資を指します。銀価格の上昇や企業の業績に連動して価格が変動する傾向があります。
銀価格に連れ高する場合、銀自体の上昇率よりも大きく上昇する局面も多いです。反対に、銀に連れ安する場合はより大きく下げることも。銀の現物への投資よりもハイリスクハイリターンになりやすいため注意です。
また、銀そのもののみならず、企業の収益や生産能力に依存するため、銀価格以外にも影響を受けます。
6-4-1 銀鉱株投資の始め方
株式の購入は、投資信託やETFと同様に証券口座が必要なため、まだ口座を持っていない人は口座開設の手続きをする必要があります。口座を開いたら購入したい銘柄の買い付けを行います。
国内には純粋な銀鉱株は存在しないため、購入するとすれば「AG(First Majestic Silver)」「PAAS(Pan American Silver)」など海外株式が対象となります。一部の米国株はNISAの成長投資枠を利用可能です。
6-5 銀価格に連動する仮想通貨
銀の価格に連動する仮想通貨(ステーブルコイン)もあり、国産銘柄では「ジパングコインシルバー(ZPGAG)」が挙げられます。
デジタル資産の強みとして、売買手数料や保管手数料がかからず、取引時のコストはスプレッドのみ。また、現物の銀は通常100g~購入できますが、ZPGAGの場合はデジタル資産の強みを生かした小口投資が可能。1円以下からリスクを極限まで抑えることができます。
さらに、通常の銀は金利が付かない一方、ジパングコインシルバーは仮想通貨取引所のレンディングサービスを活用することで金利を得ることができます。仕組みや特徴、買い方については「8.銀(シルバー)×仮想通貨『ジパングコインシルバー』とは」で詳述。
6-6 CFD取引
CFD取引(差金決済取引)は、銀を実際に保有せずにその価格変動を利用して利益を狙うデリバティブ取引の一種です。
銀の上昇局面だけでなく、「ショート(空売り)」により価格の下落時にも利益を狙えます。また、レバレッジをかけて少額の証拠金で大きな額の金額を動かすことができます。例えば10倍のレバレッジなら1万円で10万円分の取引が可能。
現物取引と比較すると資金管理が難しいうえ、ハイリスクハイリターンなため中上級者向けです。
6-7 銀先物取引
銀先物取引は、将来の特定の日(満期日)に銀を特定の価格で売買する契約を現時点で結ぶ取引。銀の将来価格を予測し、契約を結んで満期時に現物を受け渡すか、差金決済で清算します。
中・長期投資やヘッジに適しますが、契約サイズが大きく、初心者にはハードルが高いです。また、レバレッジを使うため、リスク管理と知識が必須です。CFD取引と同じく中上級者向けです。
7.銀(シルバー)投資の注意点
この章では、銀投資に潜むリスクや注意点について解説。
注意点を理解することで、リスクを抑えつつ銀の魅力を最大限に活かした投資が可能になります。以下、具体的に見ていきます。
7-1 手数料とコスト
銀を購入する際には、現物・ETF・積立など投資方法ごとにスプレッド(売買価格の差)や取引手数料がかかります。
特に現物取引では、買取価格と販売価格の差が大きめに設定されている場合が多く、実際の価格上昇分よりも手数料で利益が目減りすることがあります。
購入前に必ず手数料体系を確認し、長期保有前提で損益分岐点を意識することが重要です。
7-2 銀地金は買い付け時に消費税10%
銀地金を購入する際、日本では「物品」として扱われるため、消費税10%が課されます。例えば、銀1gの価格が180円の時に100g買った場合は消費税として1800円が追加され、支払金額の合計は19800円となります。
ただし、売却時には消費税10%分が還付されます。たとえば、銀1gの価格が180円のときに買い、評価額が200円になった時に売ろうとすると、2000円分が上乗せされ22000円で売れるのです。一方、価格が下落すると損失が拡大しやすい構造となっています。
また、仮に売却時の消費税率が購入時よりも上がっている場合は、上がった分だけ得をすることとなります。
日本は財政がひっ迫しており、消費税引き上げの議論が今後も続く見通しです。いまのうちに銀地金を購入しておけば、消費税引き上げの恩恵に与れる可能性もあります。
7-3 偽造品や詐欺のリスク
現物の銀コインやインゴットには偽造品が出回るリスクがあります。特に個人売買やオークションサイト、正規でない業者から購入する場合は要注意です。
信用のある専門店や老舗貴金属商、証明書付きの商品のみを選ぶことが基本です。また、極端に安い価格での販売や、高配当を謳う銀投資詐欺にも警戒が必要です。
7-4 保管リスク(銀地金の場合)
銀は金に比べて単価が低く、同じ金額分を保有する場合に体積が大きくなりがちです。そのため自宅保管では場所を取り、かつ酸化(黒ずみ)や盗難のリスクもあります。
専用の保管サービス(セーフティボックスや信託型保管)を利用する場合は、別途保管料が発生することもあります。コストと安全性のバランスを考慮することが重要です。
7-5 為替リスク
銀価格は国際的には米ドル建てで取引されるため、円で売買する場合は為替レートの影響を受けます。
たとえ銀そのものの価格が変わらなくても、円高になれば円建ての評価額は目減りし、反対に円安なら評価益が増えることになります。
特に短期売買では、銀そのものより為替変動が損益に与える影響が大きくなることもあるため注意が必要です。
8.銀×仮想通貨「ジパングコインシルバー」とは

ジパングコインシルバー(ZPGAG)は、銀の価値と仮想通貨の利便性を融合させた日本発のステーブルコインです。三井物産の子会社である三井物産デジタルコモディティーズ株式会社が発行しています。
ジパングコインシルバーは、1ZPGAGが概ね銀1gの価格となるように設計されています。伝統的な銀投資の安定性と、ブロックチェーン技術による高い利便性・堅牢なセキュリティとを兼ね備える商品型ステーブルコインとして認可されています。
インフレヘッジや資産保全を目指す投資家にとって、「デジタルシルバー」とも言うべき新たな選択肢として注目されています。
8-1 ジパングコインシルバー(ZPG)の6つの特徴
ジパングコインシルバー(ZPGAG)の特徴は、以下の6点です。
8-1-1 銀価格との連動
銀価格との連動については先述した通りで、概ね1ZPGAG=銀1gとなるように設計されています。
執筆時点で銀1g=約190円で、1ZPGAGの価格も概ね同じ価格で推移しています。
8-1-2 レンディングで金利が得られる
ジパングコインシルバーは一部の仮想通貨取引所が提供するレンディングサービスで預けることで金利収入が得られます。
「3-2 銀(シルバー)投資のデメリット」にて、銀は金利が付かない点をデメリットとして紹介しましたが、この弱点を補うスキームという意味でも、ジパングコインシルバーは注目されているのです。
ZPGAGのレンディングサービスを提供する取引所については、「8-2 ジパングコインシルバーの取引はコイントレードかbitFlyerで」で紹介しています。
8-1-3 独自ブロックチェーン「miyabi」を活用

ジパングコインシルバーの基盤となるブロックチェーンは、bitFlyer Blockchain社が開発する独自ブロックチェーン「miyabi」です。
miyabiは、毎秒4000件という高速なトランザクション処理と、高いセキュリティ性能を両立するプライベートブロックチェーン。パブリックブロックチェーンとは異なり、中央管理者を置くことにより信頼性と処理速度を高めています。
8-1-4 1円単位の小口投資が可能
ジパングコインシルバーの利便性の最たるは、1円以下の小口投資が可能な点でしょう。
三菱マテリアルなどの地金商で現物を購入する際の最低購入単位は100gのケースが多いです。銀は金と比較して1gあたりの価格が手頃のため初心者でも参入しやすいですが、ZPGAGであれば現物よりもさらにリスクを抑えた投資が可能です。
8-1-5 高い信頼性

発行元の三井物産デジタルコモディティーズは、三井物産の100%子会社。東証プライムに上場する総合商社の支援を受けているため経営基盤は盤石と言えます。
金融庁の厳しい審査を通過している点でも高い信頼性を有していると言えるでしょう。
また万一、発行元が破綻した場合でも、三井物産傘下の暗号資産交換業者であるデジタルアセットマーケッツ(DAMS)に対して、ZPGAGの時価相当額が支払われる銀行保証があります。保証金はDAMSからZPGAGの全保有者に支払われるため、発行元の破綻により資産を失うリスクは軽減されています。
8-1-6 将来的に現物と交換可能に
現状ではZPGAGを保有していても銀の現物と交換することはできませんが、将来的に交換可能にする予定だといいます。
実現すれば、極めて低コストで間接的に銀を積み立てつつ、いずれ現物を手に入れることができるようになります。
8-2 ジパングコインシルバーの取引はコイントレードかbitFlyerで
ジパングコインシルバーは複数の国内仮想通貨取引所に上場しています。
中でも、おすすめはコイントレードとbitFlyerです。
8-2-1 レンディングで金利収入が得られるコイントレード
東証プライム上場セレスの傘下企業が運営するコイントレードは、金・銀・プラチナに連動する全3種のジパングコインを取扱っています。
3種の代表的な貴金属投資へのアクセスが得られる強みを持っており、いずれもレンディングサービスに対応しています。金・銀・プラチナへの間接投資で金利収入が得られるスキームです。
さらに、コイントレードはポイ活サービス大手「モッピー」で貯めたポイントを取り扱う全ての仮想通貨と無料で交換することができます。つまり、実質無料で貴金属への投資も可能ということです。
8-2-2 最大手の安心感bitFlyer
仮想通貨取引所bitFlyerも金・銀・プラチナに連動する全3種のジパングコインを取扱っています。
コイントレードのようにジパングコインシリーズのレンディングサービスは提供していないものの、国内最大手取引所のため、長期で預けておける安心感があります。
なお、bitFlyerはレンディングサービスの対象銘柄を拡大する方針を示しているため、将来的にジパングコインシリーズが運用できるようになる可能性も残されています。
9.まとめ:価値と成長の両翼をもつ資産、銀(シルバー)を未来にいかす
銀(シルバー)は、実物資産としての信頼性と、成長産業を支える工業素材としての可能性を併せ持つ、ユニークな資産です。価格の変動幅が大きい一方で、長期的な視点で見ると、インフレ対策やポートフォリオの分散先として注目に値します。
投資手法も、現物・積立・ETF・銀鉱株・仮想通貨連動型など多岐にわたり、自分に合ったスタイルを選べる柔軟性も魅力です。ただし、特有のリスクやコストにも目を向け、正しい知識をもとに行動することが重要です。
「価値の保存」と「未来の成長」という2つの軸をもつ銀。今こそ、時代の変化とともにその力を見直し、あなたの資産形成に賢くいかしてみてはいかがでしょうか。
参考:チャールズ・スパポドック著:『世界が注目するシルバー投資』

仮想通貨ブロガー/投資家
早稲田大学卒|元業界関係者で現coindog編集長🐶|2020年から仮想通貨投資を開始|大手メディア3社で編集者・キュレーターとして従事→独立|趣味は投資・筋トレ・音楽鑑賞・ラップバトル観戦・コーヒー屋さん巡り