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2024年度版web3ホワイトペーパー
自民党デジタル社会推進本部web3プロジェクトチームは12日、「web3ホワイトペーパー ~ 新たなテクノロジーが社会基盤となる時代へ ~」を取りまとめたことを発表した。
自民党『web3ホワイトペーパー2024』がデジタル社会推進本部にて了承され、案として公表されました。
今回は「Nippon Nexus: Weaving the web3 Era~日本がweb3 時代の中心へ」と銘打って、昨年のホワイトペーパーから更に歩みを進めるものとなっています。
EUが昨年7月に公表した「Web… pic.twitter.com/IVkchqaMYf
— 弁護士 増田 雅史 (@m_masuda) April 12, 2024
ホワイトペーパーの内容はデジタル社会推進本部で了承を得ており、今後は政務調査会の審査を経て正式に自民党の政策となる。
2024年の「web3ホワイトペーパー」の内容は以下の3点を柱としている。
- Nippon Nexus: Weaving the web3 Era~日本がweb3 時代の中心へ
- web3の推進に向けてただちに対処すべき論点
- web3のさらなる発展を見据え議論を開始・深化すべき論点
Nippon Nexus: Weaving the web3 Era
ホワイトペーパーの導入では、ドル建てステーブルコインの時価総額が10兆円を越え、DAO(自律分散型組織)を活用した国境を越えたネットワークの構築が進むなど世界中でweb3のマス・アダプション(大衆受容)に向けた動きが加速していると指摘する。
そのような状況下で、プロジェクトチームは「我が国をweb3の中心にする」を目標とし、課題を吸い上げ施策に結び付けてきたことで、日本において世界でも有数のweb3事業環境が整備されつつあると説明している。
例として、法人の期末時価評価課税を対象外としたこと、パーミッションレス型ステーブルコインの流通を可能にしたこと、DAO(自律分散型組織)の活用に向けて府令改正への道筋を立てたことなどを挙げた。
こうした潮流は、内閣府が将来の日本のあるべき姿として提唱した「Society 5.0」の実現にも資すると述べている。
Society5.0とは、サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会を指す概念だ。
これを実現するには、AI・IoT・メタバースなどの技術に加え、ブロックチェーンも重要な位置を占めるという。
このような背景も含め、同ホワイトペーパーについて、日本の発展にも繋がり社会基盤にもなり得るブロックチェーン技術の発展を強力に後押しするための提言であると述べた。
web3の推進に向けてただちに対処すべき論点
「web3の推進に向けてただちに対処すべき論点」では、web3の推進にあたり日本が直面する課題を列挙し、それぞれの課題への提言を記載している。
例として、以下のようなテーマが取り上げられている。
- 「Society 5.0」実現に向けた、AIなど他分野との共働の推進
- 税制改正
- DAOの活用促進のためのさらなる措置
- 金融機関のweb3参入
- NFTビジネス
1.「Society 5.0」の実現にあたっては、AI・IoT・メタバースなど他分野との共働が不可欠であるが、分野横断的な検討が不十分であると指摘。提言として、「まずは、web3、メタバース、AIといった複数のテーマが連動・共働する領域が生み出す価値や、新たな課題を整理するための検討を、省庁横断的な形で開始すべき」とした。
2.暗号資産(仮想通貨)取引により生じた所得に最高55%の課税が発生することや、仮想通貨同士の交換により損益に対して課税される現行の税制の問題点を挙げた。提言としては、仮想通貨取引による損益を申告分離課税の対象とすること、損失の所得金額からの繰越控除(翌年以降3年間)を認めること、仮想通貨同士を交換したタイミングでは課税しないことなどが盛り込まれた。
3.合同会社型DAOの設立・運用する際に発生し得る実務的な課題(社員の勧誘等を非業務執行組合員が行うことに制限があること等)の解決の必要性を訴えている。提言としては、「合同会社型DAOを設立・運用する際の実務的な課題を洗い出し、さらなる解釈の明確化や実務運用の見直しによって対応できる点に関しては、速やかに対応を行うべき」とした。
4.銀行や保険会社がweb3領域への参入を試みる際、法令上の付随業務への該当性などについてて当局への説明が必要な範囲が不明確であると指摘。これについては、「当局として事前相談を通じた効率的な申請準備等のサポートを行う」「今後の事例の蓄積に応じ、当局において解釈の指針の具体化とそのタイムリーな公表を継続的に行うべき」と盛り込んだ。
5.日本のコンテンツ産業におけるNFTの利活用の活性化について、「NFTを用いたランダム型販売や、ファンタジースポーツのサービスの適法なビジネスモデルを示すガイドライン策定の検討を官民連携で進めるべき」「映画等のコンテンツ制作に係る各種権益を付与することを目的としたNFTを含む各種トークンについても利用上の課題の認識に努め、その対処を検討する」との提言を記した。
web3のさらなる発展を見据え議論を開始・深化すべき論点
「web3のさらなる発展を見据え議論を開始・深化すべき論点」では、緊急性はないもののweb3の発展を見据えて取り組むべき課題と提言を記している。
掲載されているテーマは以下の通り。
- web3コンテンツの海外展開支援
- 安心安全な利用環境
- 自治体支援
- 暗号資産ビジネス
4については、以下の2点を問題点として挙げた。
レバレッジ倍率について
日本では個人によるレバレッジ取引の上限倍率は2倍とされており、それは顧客保護の観点から適切であるとも考えられるとした一方で、より高い倍率を提供する海外事業者に日本人の顧客が流出しており、そのことがかえって顧客保護に反するとの声があるとした。
このことについて、現行のレバレッジ倍率の適切性について、負の影響や倍率の引き上げによる負の影響の解消の可能性、引き上げによる生じるリスクなどについて専門家の協力を得ながら検討すべきとした。
暗号資産ETFの認可
1月にビットコイン(BTC)現物ETFが当局に認可された米国を含め、多数の国々の証券取引所にビットコインETFが上場しているとしたうえで、日本では仮想通貨ETFが認可されていない状態が適切であるかどうかを問題として挙げた。
これに対する提言として、日本において、仮想通貨を投資信託の投資対象とすることの妥当性を検討するべきとした。その際には、「今後、個人投資家のみならず、機関投資家の運用資産等についても、すでにビットコインETFが存在している米国等に流出する可能性がないか等についても考慮に入れることが望ましい」とし、法改正の必要性にも言及した。
web3ホワイトペーパー2023で取り上げた施策の進捗
同プロジェクトチームは2023年にも同様のホワイトペーパーを公表しているが、そこで取り上げた施策の進捗についても記載されている。
参考:平将明氏公式ウェブサイト