3メガバンクらが作成
国内3メガバンクや大手地銀らは、ブロックチェーン技術を活用し、口座開設などの本人確認で利用できるデジタル証明書を作成する方針であることがわかった。日本経済新聞が20日に報じた。
三菱UFJ信託銀行が作るデジタル証明書の評議会に、三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループ、ふくおかフィナンシャルグループ、静岡銀行が参画する。
デジタル証明書の用途
メガバンクらが制作するデジタル証明書では、生年月日など個人情報をデータの改ざんが難しいブロックチェーン技術を活用してデジタル化する。
複数の金融機関で利用できる共通の証明書を発行する方針で、銀行口座の開設のほか、カード発行、証券口座の開設、デジタル金融サービスの登録時にも使えるようにする構想だ。
スマートフォンやパソコンでデジタル証明書を保管し、必要に応じてアップロードする手法を想定している。セキュリティや安全性に配慮し、利用者本人が共有するデータの範囲を指定できる仕様にすることでサービス普及を図る。
法制上の課題を整理したうえで2024年度内に実証実験を行い、2025年のサービス開始を目指すという。
背景にデジタル化の遅れ
近年、小額投資非課税制度(NISA)向け金融商品の販売やクレジットカードの加入などサービスが多様化する中で、金融機関の事務負担が増している。
また、業界のデジタル化の遅れに対する危機感も、今回の取り組みの背景として挙げられる。
ひとつのデジタル証明書で複数の金融機関や各種金融サービスの本人確認で利用できるとなれば、デジタル化の促進や金融機関による店頭の事務の効率性を高め、負担軽減が見込まれる。
一方、金融分野でのデジタル証明書の活用にあたっては、犯罪収益移転防止法の規定が障害となる。
同法では、本人確認書類の画像データを撮影後、即時送信するよう規定しているが、協議会では業界単位でフィンテックに関する支援制度を活用し、規定を満たすため政府と調整するという。
国内銀行によるブロックチェーン事業参入
金融機関によるブロックチェーン事業への参入の事例は、年々蓄積されている。
例えば、2023年には3メガバンクがステーブルコインの発行基盤「プログマ」を手掛ける企業の設立にあたって出資している。
プログマなどを活用しステーブルコイン発行を目指す事例は複数発表されており、三菱UFJ信託銀行のほか、みんなの銀行や四国銀行などの地方銀行も含まれる。
そのほか、三菱UFJ銀行は同年3月に大日本印刷と、ブロックチェーン技術を活用し個人でID管理をできるようにする技術である「DID(分散型ID)」の事業化検証に向けた基本合意を発表。
さらに両社は同年10月、分散型ID・デジタル証明書に関するビジネスコンソーシアム「DID/VC共創コンソーシアム」の設立を発表している。
参考:日本経済新聞
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早稲田大学卒|元業界関係者で現coindog編集長🐶|2020年から仮想通貨投資を開始|大手メディア3社で編集者・キュレーターとして従事→独立|趣味は投資・筋トレ・音楽鑑賞・ラップバトル観戦・コーヒー屋さん巡り