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ビットコインの歴史を紐解く
ビットコイン(BTC)など暗号資産(仮想通貨)が世界中からかつてないほどの注目を集めています。
米国で第2次トランプ政権誕生が決まり、仮想通貨の規制緩和および米政府によるBTCの戦略的備蓄への期待から世界中の大企業がBTC購入に動き出しました。
投資の有力な選択肢となったビットコインですが、価格変動の大きさによるリスクの存在も忘れてはいけません。その成り立ちや歴史を学ぶことで、未来の市場変動をより冷静に読み解く力を身につけ、投資判断に役立てることができるでしょう。
ビットコインという新時代の資産に挑む前に、その歴史をしっかり理解しておきましょう。
- ビットコイン(BTC)とは
- ビットコイン(BTC)誕生の背景
- ビットコイン(BTC)の歴史
- 3-1 2008年:サトシ・ナカモトがビットコインの論文を発表
- 3-2 2009年:ビットコインの最初のブロック生成
- 3-3 2010年:ピザと交換でビットコインが初めて価値を持つ
- 3-4 2011年:ビットコイン乱高下、マウントゴックス事件
- 3-5 2012年:コインチェック創業&初の半減期
- 3-6 2013年:キプロス危機を契機にビットコイン急騰
- 3-7 2014年:マウントゴックス破綻
- 3-8 2015年:Bitstampで大規模ハッキング、ニューヨーク州の規制強化
- 3-9 2016年:ビットコインが2度目の半減期、Bitfinexで大規模ハッキング
- 3-10 2017年:ICOバブル、ビットコインがハードフォーク
- 3-11 2018年:コインチェックで大規模ハッキング、「仮想通貨の冬」到来
- 3-12 2019年:仮想通貨の呼称が「暗号資産」に決定、BTC価格は中国に翻弄
- 3-13 2020年:3度目の半減期、米ペイパルの発表で急騰&最高値更新
- 3-14 2021年:ビットコインが最高値更新も、米テスラやマスク氏の動向に揺れる
- 3-15 2022年:悪材料噴出でビットコイン暴落、業界の信頼失墜
- 3-16 2023年:米国で現物型ビットコインETF解禁の機運高まる、BTC急騰
- 3-17 2024年:米国で現物型ビットコインETF初承認、4度目の半減期を経てBTC急騰
- ビットコイン(BTC)の買い方・増やし方
- ビットコイン(BTC)の歴史まとめ
目次
1.ビットコイン(BTC)とは
ビットコインは「サトシ・ナカモト」の論文によって構想が披露され、その後開発された世界初の仮想通貨です。ブロックチェーンというインターネットの技術を使って発行されています。
ビットコインは2100万枚という発行上限が設けられており、4年に1度のサイクルでやってくる「半減期」により新規発行量が減少していくため希少性が生まれやすい仕組みとなっています。
日本円やドルなどの法定通貨は、各国の中央銀行が発行しますが、ビットコインは特定の中央管理者が存在しない「非中央集権性」も大きな特徴の一つです。特定の国や金融機関の破綻リスクから解放されています。
こうしたインフレ耐性を持つ「デジタルゴールド」としての特性が評価され、大企業や各国政府が大量購入する動きにまで発展しています。以下の記事にて、ビットコインの特徴や将来性など詳しく解説していますのでこちらもぜひご覧ください。
2.ビットコイン(BTC)誕生の背景
ビットコインが誕生する背景には、技術的・社会的・思想的な要因が複雑に絡み合っています。
以下、その背景をいくつかの視点から説明します。
2-1 思想的背景: リバタリアニズムとサイファーパンク
1970年代頃より、「リバタリアニズム」と呼ばれる中央集権が可能な限り最小限でなければならないとする政治的イデオロギーが広がりました。これが、後の「サイファーパンク」に繋がります。
サイファーパンクは、プライバシーと個人の自由をテクノロジーによって守ろうとする思想、および活動家の呼称です。1980年代から1990年代にかけて、暗号技術を活用して政府や企業の監視から逃れることを目指しました。
その火付け役として知られるティモシー・C・メイ氏が1988年に発表した、匿名性や自由市場の重要性を説いた「Crypto Anarchist Manifesto(クリプト無政府主義宣言)」は有名です。
こうした運動の一環として、デジタル通貨のアイデアも議論されるようになり、これがビットコインの思想的な原点となっています。
2-2 技術的背景: ビットコイン以前の試み
ビットコインは「一から生み出されたもの」ではなく、過去の暗号技術やデジタル通貨の研究に基づいています。
以下、ビットコインの源流となった技術や発明を挙げます。なかでも、米マイクロソフトの元技術者ウェイ・ダイ氏が発表した「bマネー」は直接的にビットコインに繋がった提案とされています。
- 1980年代:デヴィッド・チャウム氏、匿名性重視のデジタル通貨「eCash」を提案
- 1997年:ニック・サボ氏、ビットコインに近い構想「Bit Gold」を提案
- 1997年:アダム・バック氏:PoW(プルーフ・オブ・ワーク)のコンセプト「Hashcash」を発表
- 1998年:ウェイ・ダイ氏:分散型のデジタル通貨「b-money」の構想発表
2-3 社会的背景: 金融危機と中央銀行への不信
ビットコインが生まれた最も直接的な要因は、リーマン・ショックによる金融危機や中央機関への反発とされています。
ビットコインが正式に公開されたのは2009年1月。これは、2008年9月のリーマン・ショック直後でした。
リーマン・ショックとは、米国の大手投資銀行リーマン・ブラザーズの破綻が惹起した世界的な金融危機のこと。この危機は各国政府による大規模な金融緩和政策や経済対策によって収束しましたが、世界経済に深刻な影響を与えたほか、中央集権的な金融システムや政府の介入に対する不信感を生みました。
実際、ビットコインのブロックチェーンのジェネシスブロック(最初のブロック)には、”The Times 03/Jan/2009 Chancellor on brink of second bailout for banks(The Times 2009年1月3日 財務大臣、銀行に対する2度目の救済措置の瀬戸際に)” とのメッセージが埋め込まれていました。これは、中央銀行主導の金融政策への批判と解釈できます。
3.ビットコイン(BTC)の歴史
ここからは、ビットコインの構想発表および発行開始から、現在に至るまでの各年における価格や評価に影響を及ぼした重要な出来事、価格や騰落率、当時の人々からの評価をまとめています。
なお、2010年までのBTC価格を参照できるサイトが乏しいため、価格は2011年より掲載しています(CoinMarketCap参照)。
紆余曲折を経て現在の地位を確立したビットコイン。その歴史を学ぶことは、単に過去の知識を得るのみでなく、今後の投資判断にいかせる重要な洞察が得られるでしょう。
3-1 2008年:サトシ・ナカモトがビットコインの論文を発表
2008年10月31日、正体不明の人物(もしくはグループ)である「サトシ・ナカモト」が、『Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System』と題する論文をインターネット上に投稿し、ビットコインの構想を披露しました(実際の論文はこちら)。
中央機関を介さずに個人間で直接送金を可能にする仕組みが提案され、暗号学や分散型ネットワークの技術を組み合わせた「ブロックチェーン」の概念が初めて紹介されました。
この論文の発表から、今日までのビットコインの物語が始まります。なお、この時点ではまだビットコインは発行されていないため、価格も存在しません。
- 2008年10月31日:サトシ・ナカモトがビットコインの論文を発表
3-1-1 2008年当時の評価
2008年のリーマン・ショックで銀行や政府に対する信頼が揺らぐ中、金融システムを補完する新しい仕組みへのニーズが高まり、サイファーパンクのコミュニティの間ではすぐに注目を集めました。
しかし、当時の金融業界や政府機関は、ビットコインについてその技術的意義や経済的可能性を認識することはほとんどなく、目立った議論もされませんでした。
3-2 2009年:ビットコインの最初のブロック生成
「サトシ・ナカモト」による論文の発表から約2カ月後、2009年1月3日にビットコインのブロックチェーンの「ジェネシスブロック(最初のブロック)」が生成されました。
同月12日、サトシ・ナカモトがプログラマーのハル・フィニー氏に10BTCを送金し、ビットコインの最初のトランザクションが行われました。この出来事は、ビットコインが単なるアイデアではなく、実際に機能することを証明した瞬間でした。
10月には「New Liberty Standard」というサイトにて1BTC=約0.07円と提示され初めて値が付きました。
- 年初価格:-
- 年末価格:-
- 年間騰落率:-
- 年間最高値:-
- 年間最安値:-
- 2009年1月3日:ビットコインの「ジェネシスブロック(最初のブロック)」生成
- 1月12日:ビットコインの初送金
- 10月5日:ビットコイン価格がサイトに初めて提示される。
3-2-1 2009年当時の評価
一部の技術者やサイファーパンクの間で注目されていましたが、一般社会ではビットコインの存在は全くと言っていいほど認知されていませんでした。
金融業界や政府機関、学術界からの注目はほとんどなく、金融市場や既存の通貨システムに影響を与えるものとしては捉えられていませんでした。一部の専門家の間では「実現不可能」「使い道がない」という批判もありました。
3-3 2010年:ピザと交換でビットコインが初めて価値を持つ
2010年5月22日、ビットコインの開発者が10000BTCを使ってピザ屋でピザ2枚と交換しました。BTCが初めて価値を持った瞬間です。
ビットコインの開発者が10000BTCを使ってピザ屋でピザ2枚と交換したのです。当時は1BTC=約0.2円でしたが、現在の価格(1BTC=1500万円)で換算すると10000BTCは1500億円(ピザ1枚あたり750億円)に相当します。
以来、BTCによる初の商取引成立を祝し、毎年5月22日は「ビットコイン・ピザ・デー」として世界各国でイベントが開催されています。
また、7月18日には後に世界一のビットコイン取引所に成長する「Mt.Gox(マウントゴックス)」が設立されます。こうした取引所が複数登場したことによりビットコインの売買が簡単になり、市場が形成され始めました。
- 年初価格:-
- 年末価格:約4円
- 年間騰落率:-
- 年間最高値:-
- 年間最安値:-
- 5月22日:ビットコイン・ピザー・デー
- 7月18日:ビットコイン取引所「マウントゴックス」設立
3-3-1 2010年当時の評価
技術者やサイファーパンクの間で、ビットコインは「実験的で興味深い技術」として評価されていました。
しかし、一般の認知度は依然として低く、多くの人はビットコインを一時的な流行や失敗に終わる技術と見なしていました。実際、「デジタルマネーに本物の価値があるのか?」という疑問が広く共有されていました。
この時点では、ビットコインを投資目的で保有する人はほとんどおらず、マイナー(マイニングを行う人)や技術者が趣味や実験として保有しているにすぎませんでした。
3-4 2011年:ビットコイン乱高下、マウントゴックス事件
2011年は、ビットコインにとって初の大幅な価格上昇と暴落を経験した年です。
米タイムズ誌など著名メディアの報道や投機的な需要による関心拡大を背景とし、6月にビットコインの価格は年初価格の約1ドルから30倍の30ドル(約3000円)に達しました。
しかし、同月19日にマウントゴックスにてハッキング事件が発生。2000BTCが流出し、一時0.01ドル(約1円)まで暴落しました。同年9月にも7万7500BTCが盗み出され、年末には300円台をつけました。
- 年始価格:約25円
- 年末価格:約350円
- 年間騰落率:約+1300%
- 年間最高値:約2100円
- 年間最安値:約0.003円
- 2011年4月16日:タイムズ誌でビットコイン特集
- 6月8日:ビットコイン急騰(一時3000円突破)
- 6月19日:マウントゴックスのハッキング事件
3-4-1 2011年当時の評価
技術者やプログラマーの間では、ビットコインは中央集権的な管理を排除し、分散型の経済システムを構築できる画期的な技術として注目を集めていました。
しかし、一般の人々にとってはほとんど認知されておらず、一部のメディアでは「怪しいインターネットマネー」や「犯罪に使われる可能性があるもの」として報道されていました。
6月にBTC価格が一時30ドルを超えるまで急騰し、短期間で数十倍に価値が上昇したことから投機家の注目を集めましたが、ボラティリティ(価格変動率)や実用性に対する懸念から、長期的な存続に疑問を投げかける声が多く見られました。
3-5 2012年:コインチェック創業&初の半減期
2012年8月、日本で仮想通貨取引所コインチェックが創業されました。
同年11月にはビットコインが初めて半減期を迎え、ブロック報酬が50万BTCから25万BTCに半減。初の半減期到来で希少性が高まるとの期待から買いが集まり、1BTC=1000円台まで回復しました。
- 年始価格:約400円
- 年末価格:約1200円
- 年間騰落率:約+200%
- 年間最高値:約1200円
- 年間最安値:約400円
- 8月28日:コインチェック創業
- 11月28日:ビットコインが初の半減期(ブロック報酬は25万BTCに)
3-5-1 2012年当時の評価
最初の「半減期」もあいまって、技術者たちはビットコインの価値や可能性について議論を深め、初期の採用を進めるための草の根的な活動を展開。オープンソースプロジェクトや開発者会議など、専門家同士の交流が活発化しました。
メディアでもビットコインが取り上げられる機会が増えましたが、「シルクロード」などダークウェブでの違法取引での使用が取りざたされ、犯罪利用のリスクにも注目が集まりました。
一部のオンライン取引やBTC支払いを受け入れる店舗の増加が話題となり、一般の知名度も徐々に高まりはしましたがまだ広くは理解されていませんでした。
3-6 2013年:キプロス危機を契機にビットコイン急騰
2013年3月、キプロス共和国で発生した金融危機(キプロス危機)により、世界中で中央銀行に対する信用が低下し、法定通貨のリスクヘッジとなる資産を所有する動きが加速しました。
これにより、特定の管理主体を持たないビットコインが注目され、欧米や中国の富裕層を中心に、ユーロや人民元などの法定通貨をBTCに交換したことで価格が急騰。時価総額は一時10億ドル(約1000億円)を突破しました。
- 年始価格:約1200円
- 年末価格:約8万円
- 年間騰落率:約+6567%
- 年間最高値:約11.5万円
- 年間最安値:約0.3円
- 2013年3月16日:「キプロス危機」発生
- 3月28日:ビットコインの時価総額、10億ドル(1000億円)を突破
3-6-1 2013年当時の評価
2013年はビットコインが世界的な注目を集め、価格上昇や社会的認知が大きく進んだ年でした。
4月、キプロスの金融危機をきっかけにビットコインの価格が一時260ドルを超え、一般の注目が一気に高まりました。この危機でビットコインは「法定通貨に代わる安全資産」としての注目を集めました。
一部のベンチャーキャピタルは仮想通貨関連のスタートアップに投資を開始し、市場の成熟を後押ししました。
一方、価格のボラティリティや犯罪利用のリスクが問題視され、賛否両論が分かれる状況でもありました。
3-7 2014年:マウントゴックス破綻
2014年1月、今や国内ではコインチェックと双璧をなす取引所のbitFlyerが創業。
同月、ダークウェブ「シルクロード」での違法取引に関与したとして米仮想通貨取引所BitInstant創業者チャーリー・シュレム氏らが逮捕されました。シルクロードはビットコインの資金洗浄にも利用され犯罪行為の温床となっていました。
この事件は、仮想通貨そのものの信頼性を揺らがせ、仮想通貨業界における規制と法的責任の問題を象徴する出来事となりました。
翌月、マウントゴックスが再びサイバー攻撃による不正流出に見舞われ、その後経営破綻。BTC価格は急落しました。1万8000円台まで下落しましたが、12月の米マイクソフトによるBTC決済導入の発表などが好感され、約5万円まで回復しました。
- 年始価格:約8万円
- 年末価格:約3.7万円
- 年間騰落率:約−55%
- 年間最高値:約9.8万円
- 年間最安値:約1.8万円
- 2014年1月9日:bitFlyer創業
- 1月26日:ビットコインを用いた資金洗浄の疑いで米BitInstant創業者ら逮捕
- 2月24日:マウントゴックスが経営破綻
- 12月11日:米マイクロソフトがビットコイン決済開始
3-7-1 2014年当時の評価
マウントゴックス事件により多くの一般人がビットコインを「危険で不安定な資産」と認識するようになりました。暴落によりボラティリティの大きさとリスクを浮き彫りにさせたほか、それまでの投機熱を冷まさせる要因となりました。
事件発生による価格の急落により、ビットコインに対するメディアの論調が批判的なものに傾いたことも、一般人からの評価を下げる要因となった可能性があります。
技術者やコミュニティは依然としてビットコインの技術を評価していましたが、事件発生により「分散型技術の進化が必要」との意見が強まり、より安全な取引所やウォレット技術の開発が議論されました。
3-8 2015年:Bitstampで大規模ハッキング、ニューヨーク州の規制強化
2025年1月には仮想通貨取引所Bitstampがサイバー攻撃を受け、約2万BTC(約5億円)が不正流出しました。
5月には米ニューヨーク州金融サービス局(DFS)が仮想通貨業者を免許制を導入。「Bit License(ビットライセンス)」という免許を設け、事業者に取得を義務付けました。この厳格な規制により、多くの仮想通貨企業が同州の撤退を余儀なくされました。
8月にはマウントゴックス元CEOのMark Karpeles氏が、マウントゴックスのデータを改ざんし、システム内で自分のアカウントに不正に資金を加算したとして逮捕されました。後の調査で同氏が顧客資産を流用して意図の疑いが浮上しました。
10月には欧州司法裁判所がBTCの取引を「支払い手段」とみなしVAT(付加価値税)の課税対象外とする判決を下しました。EU内の仮想通貨取引における重要な基準とが示された格好です。
- 年始価格:約3.8万円
- 年末価格:約5.2万円
- 年間騰落率:約+37%
- 年間最高値:約5.4万円
- 年間最安値:約2.3万円
- 2015年1月6日:Bitstampでハッキング、約2万BTCが不正流出
- 5月:ニューヨーク州金融サービス局がビットコイン事業ライセンス「ビットライセンス」を発表
- 8月1日:マウントゴックス元CEO Mark Karpeles氏逮捕
- 10月:欧州司法裁判所がBTCの取引はVAT(付加価値税)の課税対象外であると発表
3-8-1 2015年当時の評価
2015年は、ビットコインが価格の安定化と技術革新を背景に、信頼を取り戻し始めた年でした。
一般の認識や投資家の評価が改善し、金融機関や政府もその可能性を積極的に模索するようになりました。一部の消費者は、ビットコインを長期的な価値保存手段としての「デジタルゴールド」や「オンライン決済手段」として認識し始め、特に海外送金の手段として評価されました。
メディアの報道も徐々に好意的になり、「革命的な技術」「未来の通貨」といった表現が増加。犯罪利用に関する報道が減少し、違法取引のツールとしてではなく、正当な技術革新の一部と見られるようになりました。
一方、技術面ではビットコインのブロックサイズ問題が議論の的となり、処理速度の懸念が表面化しましたが、技術者たちは積極的に解決策を模索。金融業界や非金融分野での応用可能性も議論されました。
3-9 2016年:ビットコインが2度目の半減期、Bitfinexで大規模ハッキング
2016年5月には仮想通貨の特徴を定義し健全な発展を促進するための改正資金決済法が成立。取引所の登録制度創設、資産の分別管理の義務化、マネロン対策の強化などが図られました。
7月には二度目の半減期を迎えたビットコイン。その前から供給減少を見越した期待から買いが集まり、再度高騰しました。
8月には仮想通貨取引所Bitfinexから約12万BTC(約72億円)が不正流出する大規模なハッキング事件が発生。これを受けBTC価格は約20%下落しました。
- 年始価格:約5.2万円
- 年末価格:約11.6万円
- 年間騰落率:約+123%
- 年間最高値:約11.6万円
- 年間最安値:約4.3万円
- 2016年5月25日:仮想通貨を定義する改正資金決済法が成立
- 7月9日:ビットコインが2度目の半減期(採掘報酬:25BTC→12.5BTCに減少)
- 8月2日:Bitfinexで約12万BTCが不正流出
- 10月:GMOコイン創業(当時の商号はGMO-Z.comコイン)
3-9-1 2016年当時の評価
2016年は、技術革新や規制整備が進み投資家や一般の人々からの信頼が高まった一方、ブロックチェーン技術がより注目を集めるなど、ビットコイン自体だけでなくその基盤技術にも大きな期待が寄せられた時期でした。
処理能力の問題は引き続き議論され、ブロックサイズの制限やSegWitというアップグレードの提案が注目されました。また、新興国ではビットコインが銀行システムを介さない低コストの送金手段として評価されました。
一方、急激な価格上昇により一般の人々の間で「ビットコインは再び注目すべき資産」との認識が広がりました。投資家の間でも「デジタルゴールド」としての位置付けがさらに強化され、長期投資対象としての認識が深まりました。
メディアの報道もポジティブな内容が増え、「ビットコインは回復力のある資産」として報じられるケースもありました。
3-10 2017年:ICO流行で空前のバブル、ビットコインがハードフォーク
2017年は、企業やプロジェクト独自の仮想通貨を発行し資金調達を行う「ICO(イニシャル・コイン・オファリング)」という手法が流行。イーサリアムを主とするスマートコントラクトプラットフォームが簡単にトークンを作成できる基盤として活用され、ICOの普及を後押ししました。
短期間で莫大な利益を上げたものもあり、利益を狙う投資家の熱狂により多額の資金が市場に流入。ビットコインだけでなく多くのアルトコインも急騰し空前のバブル相場となりました。バブルによる市場の拡大や認知度拡大を理由に、この年は「仮想通貨元年」とも呼ばれています。
一方で、調達資金が持ち逃げされたり開発が行われないなどプロジェクト側による詐欺が横行したため、仮想通貨の信頼低下を招く副作用もありました。
値動きに注目されがちですが、4月には前年成立した改正資金決済法が施行。仮想通貨交換業者の登録が開始され当局の規制下での事業展開が始まりました。8月にはビットコイン開発者とマイナーの対立により、ブロックチェーンを分岐させる「ハードフォーク」が行われ新たな通貨ビットコインキャッシュが誕生しました。
- 年始価格:約11.6万円
- 年末価格:約170万円
- 年間騰落率:約+1365%
- 年間最高値:約197万円
- 年間最安値:約9.4万円
- 2017年:ICO(イニシャルコインオファリング)バブル
- 4月1日:改正資金決済法の施行開始、仮想通貨交換業者の登録が開始
- 7月14日:仮想通貨取引所バイナンス設立
- 8月3日:ビットコインキャッシュが誕生
- 12月8日:ビットコインが日本円建で最高値(235万円)を更新
3-10-1 2017年当時の評価
2017年、ビットコインは価格上昇とそれに伴う世界中のメディアの報道により、一般社会、投資家、金融業界の間で一気に知名度を上げました。
価格の爆発的な上昇により関心が急激に高まり、多くの一般投資家がビットコインを「簡単にお金を稼げる投資」として認識し、初めて仮想通貨に触れる人々が急増しました。一方で「バブル」との懸念も拡大し、急激な変動が一般の人々を不安にさせる要因ともなりました。
ネットワークは利用者の急増により、取引処理の遅延や手数料の高騰といった処理性能の課題が顕在化しますが、レイヤー2の「ライトニングネットワーク」の概念が注目され、将来的な処理性能改善の解決策として期待が寄せられました。
この年の成功と課題は、ビットコインが主流の金融資産として認識されるきっかけとなり、同時に仮想通貨市場全体の規制強化を促す重要な年となりました。
3-11 2018年:コインチェックで大規模ハッキング、「仮想通貨の冬」到来
前年の強気相場から一転、2018年は「仮想通貨の冬」と呼ばれる数年間にわたる相場の冷え込みの始まりの年となりました。
最も直接的な要因は、1月に発生したコインチェックにおける大規模なハッキング事件です。580億円相当の仮想通貨ネム(XEM)が不正流出し、被害額の大きさから世界中で大きく報じられました。
この事件により、ビットコイン価格は1月の約170万円から、12月には約37万円にまで落ち込みました。相場の急落のほか、取引所のセキュリティや仮想通貨そのものに対する信頼性低下を招くなど、業界の発展に暗い影を落としました。
影響は国外にも波及し、世界中で仮想通貨への規制強化の機運が高まります。GoogleやFacebookなど巨大プラットフォーム企業が仮想通貨関連広告の掲載を禁止するなどの措置を取るに至りました。
同年9月には、Zaifでもハッキング事件が発生。こうした取引所のインシデント発生をきっかけとし、後に日本の取引所は世界的にも稀な水準の厳しい規制下に置かれることとなりました。
- 年始価格:約170万円
- 年末価格:約40万円
- 年間騰落率:約-77%
- 年間最高値:約174万円
- 年間最安値:約40万円
- 1月26日:コインチェックで580億円相当のネム(XEM)が不正流出
- 1月30日:Facebookが仮想通貨関連広告の掲載禁止を発表
- 3月14日:Googleが仮想通貨の広告掲載の禁止を発表
- 3月26日:Twitterが仮想通貨の広告掲載の禁止を発表
- 9月14日:Zaifで67億円相当の仮想通貨が不正流出
- 11月15日:ハッシュ戦争、ビットコインキャッシュのチェーン分裂
3-11-1 2018年当時の評価
2018年は、ビットコインが市場全体の低迷を経験し、その評価が厳しくなった年でした。
コインチェックでの仮想通貨の大規模な不正流出事件とそれに伴う暴落は多くの投資家を撤退させ、一般の関心も薄れました。メディアでは価格の暴落やICO詐欺の横行が報じられ、ビットコインや仮想通貨全体に対する世間のイメージが悪化しました。
多くの投機家が市場から離れた一方で、一部の熱狂的な支持者や機関投資家の関心は残り、ビットコインの将来性を長期的に捉える動きが見られました。依然としてビットコインの潜在能力が信じられていたのです。
一方、技術面では「ライトニングネットワーク」の試験導入が始まり、取引速度の向上や手数料削減への期待が高まりました。しかし、一部の技術者やプロジェクトは、ビットコインが技術革新を怠っていると批判し、別の仮想通貨に焦点を移す動きも見られました。
3-12 2019年:仮想通貨の呼称が「暗号資産」に決定、BTC価格は中国に翻弄
2019年1月3日、ビットコインのブロックチェーンは、ジェネシスブロック(最初のブロック)の生成から10周年を迎えました。
3月には国内で金融商品取引法と資金決済法の改正案が閣議決定され、仮想通貨の呼称が「暗号資産」に変更されました。仮想通貨の規制政策に関わる政府間会合FATF(金融作業部会)が奨励する呼称に倣った形です。
5月と7月にはグローバル取引所バイナンスと国内取引所ビットポイントでそれぞれ仮想通貨の不正流出事件が発生しました。
相場は前年の下落相場から上昇基調に転じ、BTC価格は7月には一時130万円の高値をつけました。また、10月には巨大なマーケットを要する中国の習近平国家主席がブロックチェーン技術の国家レベルでの推進を表明したことが好感され、価格を押し上げました。
しかし、その翌月、中国政府は仮想通貨取引を禁止する新たな規制を開始したことにより大幅下落します。仮想通貨への政策方針が矛盾しているように思われるかもしれませんが、中国は仮想通貨とブロックチェーン技術を区別しており、仮想通貨の投機的な取引と違法行為の蔓延を強く警戒しています。
- 年始価格:約40万円
- 年末価格:約80万円
- 年間騰落率:約+100%
- 年間最高値:約133円
- 年間最安値:約37万円
- 2019年1月3日:ビットコインの生誕10周年
- 3月15日:金商法と資金決済法の改正決定、仮想通貨の呼称が「暗号資産」に
- 5月7日:グローバル取引所バイナンスで40億円相当のBTCが不正流出
- 7月11日:国内取引所ビットポイントで35億円相当の仮想通貨が不正流出
- 10月24日:中国の習近平国家主席がブロックチェーン技術の推進を表明
- 11月22日:中国政府が仮想通貨取引を取り締まる新たな規制を開始
3-12-1 2019年当時の評価
2019年は、ビットコイン市場が回復し始め、信頼を取り戻した年でした。
価格の上昇と技術革新により、一般投資家や機関投資家の間での認識が改善されました。一方で、規制の進展や競争の激化により、市場の健全化と成熟が進む兆しも見られました。
技術面では取引速度を改善させるレイヤー2ソリューション「ライトニングネットワーク」の実用化やビットコインネットワークのハッシュレート(採掘速度)が過去最高を記録したことによるセキュリティを含むネットワーク強化が技術者コミュニティから高く評価されました。
ビットコインの価格回復や技術革新により、メディアでの報道も徐々にポジティブな内容にシフトし、「デジタルゴールド」としての役割が強調される記事が増えました。
3-13 2020年:3度目の半減期、米ペイパルの発表で急騰&最高値更新
2020年、新型コロナウィルスの蔓延による影響はビットコインなど仮想通貨市場にも波及しました。
WHOが3月11日にCOVID-19を「パンデミック(世界的流行)」と宣言すると、金融市場全体がパニックに陥り、株式市場や商品市場とともに仮想通貨市場も暴落しました。
しかし、同年5月のビットコインの3度目の半減期が材料視され、ほどなくして上昇に転じます。その後は夏ごろのDeFi(分散型金融)取引の急増や米マイクストラテジーなどによるBTC購入の発表が価格上昇を後押ししました。
10月の米決済大手ペイパルによる仮想通貨決済導入の発表を契機に、より多くの個人投資家や機関投資家の参入を招きBTCなど仮想通貨が急騰。12月には過去最高値を3年ぶりに更新し、2万ドル(約210万円)を突破しました。
- 年始価格:約80万円
- 年末価格:約300万円
- 年間騰落率:約+275%
- 年間最高値:約300万円
- 年間最安値:約52万円
- 2020年3月11日:WHOの「パンデミック(世界的流行)」宣言、金融市場が暴落
- 5月12日:ビットコイン3度目の半減期(採掘報酬:12.5BTC→6.25BTCに減少)
- 8月11日:マイクロストラテジーが米上場企業として初めてBTCを購入
- 10月8日:米決済サービスSquareが5000万ドル(約55億円)相当のBTCを購入
- 10月21日:米ペイパルが仮想通貨決済導入を発表
- 12月16日:BTC価格が2万ドル(約210万円)突破、過去最高価格を3年ぶりに更新
- 12月27日:ビットコインの時価総額、過去最高の50兆円を到達
3-13-1 2020年当時の評価
2020年は、ビットコイン市場が大きな注目を浴び、価格が大幅に上昇した年でした。
COVID-19による経済の不安定化や中央銀行の大規模な金融緩和政策により、ビットコインの保有はインフレ対策の手段として認識され始め、一般投資家から機関投資家まで幅広い支持を得ました。
また、3度目の半減期の到来によりビットコインの希少性が再認識され、「デジタルゴールド」としての評価が強まりました。CNBCやBloombergなどの主流メディアにおいても、ビットコインの「デジタルゴールド」としての地位を強調する記事が目立ちました。
3-14 2021年:ビットコインが最高値更新も、米テスラやマスク氏の動向に揺れる
前年後半に火が付いた市場の勢いそのままに、2021年も1月の米テスラのイーロン・マスクCEOが自身のツイッター(現X)でBTC支持を示唆したことや、2月の同社によるBTC購入発表などを受けBTCは続伸。
その後も複数の大企業や機関投資家によるBTC購入や仮想通貨関連事業への参入表明があったほか、4月には米コインベースが同国の仮想通貨取引所として初のIPOを果たすなど好材料が相次ぎ、BTC価格は700万円を突破。過去最高値を大幅更新しました。
しかし、5月には前述のテスラがビットコインのマイニングが及ぼす環境への影響を考慮しBTCによる決済受け入れ中止を発表。上昇相場に冷や水を浴びせ、BTCは急落しました。
さらに同月、相場の急落に追い打ちをかけるように、中国金融委員会がBTCマイニングと取引の取締り強化の方針を表明しBTCなど仮想通貨は続落。最高値の半値近くとなる360万円付近まで大幅下落しました。
しばらく300万円台を横這いしますが、7月の東京五輪開催を前に再度上昇に転じ、500万円台まで回復。10月には米SECがビットコイン先物ETFを初承認したことなどが好感され、11月に一時約750万円を付け再度過去最高値(ATH)を更新しました。
一方、ビットコインは11月に大型アップグレード「Taproot」の実装に成功し、処理性能やセキュリティなどが向上しました。アップグレードは2017年8月の「SegWit」導入以来、約4年ぶりでした。
- 年始価格:約300万円
- 年末価格:約550万円
- 年間騰落率:約+83%
- 年間最高値:約754万円
- 年間最安値:約300万円
- 2021年2月:米テスラが15億ドル(約1600億円)相当のBTC購入
- 4月14日:米コインベースがナスダックに上場
- 5月12日:米テスラがビットコイン決済の受け入れ中止を表明
- 5月21日:中国金融委員会がBTCマイニングと取引の取締り強化の方針表明
- 6月9日:エルサルバドルがビットコインを法定通貨に採用
- 7月23日:東京オリンピック開幕、ビットコイン上昇
- 8月19日:国内取引所Liquid by Quoineで97億円相当の仮想通貨が不正流出
- 10月15日:米SECが初めてビットコイン先物ETFの申請を承認
- 11月14日:ビットコインのアップグレード「Taproot」実装完了
3-14-1 2021年当時の評価
2021年は、急激な価格上昇により、一般の関心がさらに高まりました。以前の「詐欺」や「投機的資産」といった認識は薄れ、金融資産としての信頼性が向上しました。
同時に、米テスラが環境への負荷を理由にBTC支払いの受け入れ中止を発表するなど、ビットコインがこれまでに度々指摘されてきたエネルギー問題も再燃。マイニングの持続可能性が技術者コミュニティの間で議論されました。
メディアでは、ビットコインが国家や大企業によって採用される事例が注目され、「新たな経済の柱」として報じられることが増えた一方、価格の急落や環境問題についても報道され、持続可能性や規制の必要性が議論されました。
3-15 2022年:悪材料噴出でビットコイン暴落、業界の信頼失墜
2022年前半は、米FRB(米連邦準備制度)の利上げ方針発表や2月のロシアのウクライナ進行によりビットコインなど仮想通貨が急落。
さらに5月には、ステーブルコイン関連プロジェクトの「テラ(TERRA)」と「ルナ(LUNA)」が暴落し600億ドル(6兆円超)相当の価値が市場から消える「テラショック」と呼ばれる騒動が発生。
6月には市場の低迷による経営悪化により米仮想通貨ヘッジファンドThree Arrows Capitalが破綻、大手レンディング事業者セルシウスが出金停止(翌月に経営破綻)するなど投資家心理を悪化させる出来事が噴出しました。
11月には、仮想通貨メディアCoinDeskの報道により、大手仮想通貨取引所FTXおよび関連企業のアラメダリサーチの財務基盤の脆弱性や顧客資産の流用が明るみに出たことをきっかけとして両社は破産申請しました。
こうした相次ぐ悪材料により、年初に540万円をつけていたBTC価格は、年末には約220万円まで大幅下落しました。
- 年始価格:約550万円
- 年末価格:約220万円
- 年間騰落率:約−60%
- 年間最高値:約550万円
- 年間最安値:約220万円
- 2022年:米FRBの利上げ方針
- 2月24日:ロシアがウクライナに軍事侵攻
- 4月27日:中央アフリカがビットコインを法定通貨に採用
- 5月9日:テラ(LUNA)ショック
- 6月~:仮想通貨ヘッジファンド3ACや米大手レンディング企業の連鎖破綻
- 11月11日:大手暗号資産取引所FTXとアラメダ・リサーチの破綻
3-15-1 2022年当時の評価
2022年は、仮想通貨企業やプロジェクトの不祥事や経営破綻が相次いだことにより、ビットコインの評価は大きく変動しました。
仮想通貨市場の信頼を揺るがす出来事が噴出し、一般の人々の間ではビットコインは「危険」とのイメージが広がり、市場縮小により人々の関心は低下。メディアが再びビットコインに対して否定的な論調を強めたことも、イメージ悪化を助長した可能性もあります。
一方で、技術者の間ではビットコインの基盤技術やその役割に対する評価は一定の支持を保ちました。
3-16 2023年:米国で現物型ビットコインETF解禁の機運高まる、BTC急騰
2023年は、ビットコイン市場が年初来で大幅な上昇を記録した1年でした。1月中旬頃より、前年の度重なる悪材料による過度な悲観論が後退し、ビットコインは回復基調に乗りました。
1月、米国の政府債務が法定上限の約31.4兆ドルを超え、デフォルト回避のための特別措置が施行されました。また3月にはシリコンバレー銀行やシグネチャーバンクといった米国の銀行が破綻しました。
これらの出来事により、国や政府、銀行など特定の中央機関に依存しないビットコインの価値の保存手段としての特性が注目され買いが集まった可能性もあります。
ちなみに1月、ビットコインのチェーン上でNFTを生成するプロジェクト「Ordinals」がローンチされました。このことによるBTC価格に直接的な影響はありませんでしたが、取引量増加によるネットワークの経済的活性化が起こりました。
6月には米大手資産運用企業ブラックロックがビットコインETFを申請。同社はそれまで600近くのETFを申請し、1件を除く全てが申請された実績があることから、米国における初の現物型ビットコインETF承認の期待が高まり、価格が急騰しました。
8月には、過去にグレースケールが運用するビットコイン投資信託を現物型ビットコインETFに転換する申請が米SECに却下されたことをめぐり、同社がSECを相手取り起こした裁判で勝訴。この勝利は、SECがビットコインETFに関する審査基準の変更およびそれに伴う米国での現物型ビットコインETF解禁のきっかけとなりました。
それから年末にかけて、メディアの報道によりビットコインETF初承認の観測が急激に高まっていきました。
- 年始価格:約220万円
- 年末価格:約610万円
- 年間騰落率:約+177%
- 年間最高値:約618万円
- 年間最安値:約220万円
- 2023年1月:ビットコインのNFTプロジェクト「Ordinals」ローンチ
- 3月10日・12日:米国のシリコンバレー銀行とシグネチャーバンクが破綻
- 6月1日:欧州議会、EUの仮想通貨関連規則「MiCA」を正式承認
- 6月5日・6日:米SEC、バイナンスとコインベースを提訴
- 6月15日:米ブラックロック、ビットコインETFを申請
- 8月1日:バイナンスジャパン、サービス開始
- 8月29日:米グレイスケールが対SEC訴訟に勝利
- 12月21日:マウントゴックスが債権者に返済開始
招待コード:297646443
3-16-1 2023年当時の評価
2023年、ビットコインは低迷期を脱し大幅上昇を遂げたことにより一般の人々の間での関心が再燃しました。
前年の業界の相次ぐスキャンダルの影響は依然として残りましたが、規制の強化や市場の透明性向上により、ビットコインの信頼性が徐々に回復。インフレ対策や経済不確実性へのヘッジ手段としての役割が注目されるようになりました。
メディアでは価格の回復や機関投資家の参入による市場成熟が広く報じられ、ビットコインに対する評価が改善しました。
3-17 2024年:米国で現物型ビットコインETF初承認、4度目の半減期を経てBTC急騰
前年から、米国で解禁の見通しが高まっていた現物型ビットコインETFは、1月10日にSECにより初承認されました。それまでセキュリティや会計処理の煩雑さなどの理由で、現物の保有を避けていた米上場企業や機関投資家が間接的にBTCを保有できるようになりました。
これを機に、市場に巨額の資金が流入。年初は600万円付近だったBTC価格は、2月ごろより顕著な上昇を見せ、3月に円建てで初めて1000万円を突破しました。
その後は、上昇は一服し一時770万円まで下落。米国の経済指標の悪化や中央銀行の金融政策に対する不透明感が増し、投資家のリスク回避姿勢が強くなったことなどが原因として考えられます。
しかし、米大統領選の過程で仮想通貨の普及や規制緩和を掲げるトランプ氏当選の期待などを背景として、BTCは再度上昇に転じます。特に10月後半、同氏の大統領再選の観測が高まり始めたことを受けて勢いが増し、11月6日に当選確実となるとさらに急騰。1100万円付近から1500万円を超える上昇を演じました。
第2次トランプ政権の誕生決定は、米国の機関投資家のみならず、他国にも影響を与えています。例えば、11月には中国の裁判所が仮想通貨の個人による所有は合法とする判決を下し、ロシアではプーチン大統領が仮想通貨を財産として認め課税対象とする法律に署名しました。
影響は日本にも波及しており、4月よりBTCの備蓄を始めた東証上場メタプラネットはできるだけ早期の購入を進める方針を示し、BTC購入を加速。同じく東証上場企業のリミックスポイントやGFAもBTCを中心とした仮想通貨投資事業に参入しました。
さらに、12月には2025年度税制改正大綱が決定し、「仮想通貨の税制見直し検討」が初めて明記されました。今後の税率の見直しや損益通算ルールの整備、課税区分の変更など、具体的な制度改革の道筋が示された格好です。
一方、国内では5月にDMMビットコインにて480億円相当のBTCが不正流出する事件が発生。国内交換業者は再度セキュリティのありかたの見直しを迫られる事態となっています。
事件が影響し、同社はSBI VCトレードに顧客資産と口座を移管し廃業することを発表しました。
- 年始価格:約610万円
- 年末価格:約1500万円
- 年間騰落率:約+145%
- 年間最高値:約1660万円
- 年間最安値:約610万円
- 2024年1月10日:米SEC、11本の現物型ビットコインETFを承認
- 4月20日:ビットコインが4度目の半減期(採掘報酬:6.25BTC→3.125BTCに半減)
- 5月31日:DMMビットコインで480億円相当のBTC不正流出
- 11月6日:トランプ氏が米国大統領選で当選確実に
- 11月11日:ルミス上院議員、米国政府が計100万BTC購入する法案提出
- 11月18日:中国の裁判所、仮想通貨の個人による所有は合法とする判決
- 11月29日:露プーチン大統領、仮想通貨を財産として認め課税対象とする法律に署名
- 12月2日:DMMビットコイン、SBI VCトレードへの顧客資産・口座移管と廃業予定を発表
- 12月5日:ビットコイン、史上初の10万ドル(約1500万円)を突破
- 12月20日:税制改正大綱に「仮想通貨の税制見直し検討」明記、分離課税実現に前進
3-17-1 2024年の評価
2024年は、ビットコイン市場が再び活況を呈しポジティブな評価が広がった年でした。
1月に米国で現物型ビットコインETFが初承認されたことは、証券会社を通して間接的に取引できる伝統金融に組み入れられたことを意味します。規制当局がその流動性・透明性などを評価した格好です。
また、11月のトランプ氏の大統領選勝利は、価格上昇を予期した大企業や機関投資家の購入だけでなく、各国政府が準備金としての購入を検討する契機となりました。
価格の急騰により、個人投資家や機関投資家、各国政府の間に「FOMO(乗り遅れたくない)」という心理が働き、早期ににBTCを買い集める機運が醸成されました。
国内仮想通貨メディア「CoinPost」の社員が製作した以下の動画でも、ビットコインの歴史を楽しく学ぶことができます。
【猫ミームで見るビットコイン価格と歴史】
社員が勝手に作ってきたのですが
皆さんどう思いますか😇 pic.twitter.com/7xeFi5xq8E— 各務貴仁|CoinPost・WebX (@coinpost_kagami) March 25, 2024
4.ビットコイン(BTC)の買い方・増やし方
ここでは、BTCを国内仮想通貨取引所で購入し、その後に運用して増やす方法を解説します。手順は以下の通りです。
- 仮想通貨取引所で口座開設
- 日本円を入金
- 仮想通貨取引所でBTCを購入
- BTCを「BitLending(ビットレンディング)」に預けて増やす
4-1 仮想通貨取引所で口座開設
BTCは、coinbookを除く国内の全ての取引所で取扱われています。
中でも、取引所サービス(板取引)で手数料を抑えて売買できる、かつ購入後の外部への送金が無料の以下の取引所がおすすめです。
- SBI VCトレード
- ビットポイント
口座開設の手順はどの取引所でも概ね同様で、以下の通りです。審査にかかる時間は、1~3営業日程度ですが、最大で1週間程度かかる場合があります。
- 取引所の公式サイトで「口座開設」をタップ
- メールアドレスを入力
- 届いた確認メールを開き、本登録のURLをタップ
- 氏名、住所、取引目的などの必要項目を入力
- 本人確認書類をアップロード
4-2 日本円を入金
口座開設の審査が完了したら、メールアドレスとパスワードを入力してログイン。「入金」ボタンから指定された口座に日本円を入金します。
4-3 仮想通貨取引所でBTCを購入
日本円の入金が完了したら、BTCを購入します。
仮想通貨の売買では、販売所サービスと取引所サービス(板取引)がありますが、coindogでは手数料を大幅に抑えられる取引所サービスの利用を推奨しています。両者の違いについての詳細は以下の記事で解説しています。
ちなみにSBI VCトレード・ビットポイント・コインチェックなどの仮想通貨取引所ではアプリで板取引はできないため、ブラウザでログインして活用しましょう。
4-4 BTCを「BitLending(ビットレンディング)」に預けて増やす
取引所でBTCを購入した後は、口座に寝かせておくだけでなく、レンディングサービスを活用して増やすことをおすすめします。
取引所でもレンディングサービスは提供されていますが、利回りが非常に低いです。外部のレンディング事業者のサービスを活用すればより効率的に増やすことができます。
なかでも、国内レンディングサービス「BitLending(ビットレンディング)」は、BTCを年利8%で運用できます。これは、他の類似サービスと比較しても非常に高い利率です。
利用するにはBTCを送金する必要がありますが、その際、送金手数料無料の取引所を選ぶようにしましょう。上記のSBI VCトレードやビットポイントなどが該当します。
この超低金利時代と言われる日本では、銀行に日本円を預けていてもほぼ増えることはありませんが、ビットレンディングを活用すれば仮想通貨による新時代の資産運用を体験できるでしょう。同サービスの詳細や使い方は以下の記事をご覧ください。
■BitLending(ビットレンディング)の無料登録はこちら
5.ビットコイン(BTC)の歴史まとめ
ここまで、ビットコイン誕生の背景、誕生から現在までの歴史などを解説してきました。
ビットコイン投資においてファンダメンタルやテクニカル分析にて戦略を練り売買のタイミングを計るのもよいですが、迷ったときは今一度、この歴史を振り返ってみるのも時に有効でしょう。
本記事の重要な点をまとめると以下の通りです。
- ビットコインの誕生には、思想的・技術的・社会的背景がある
- 2008年の論文発表から現在に至るまで幾度となく乱高下を繰り返している
- 過去の重要な出来事や評価の変遷を知ることで、適切な投資判断の洞察が得られる
- 2009年に初めて値が付いたときは1BTC=約0.07円、2024年末には約1500万円に
- 誕生初期は怪しいとの批判が多かったが、現在はデジタルゴールドとしての地位を強化
- 第2次トランプ政権誕生を機に、2025年以降は各国によるBTC準備金導入が期待される
仮想通貨ブロガー/投資家
早稲田大学卒|元業界関係者で現coindog編集長🐶|2020年から仮想通貨投資を開始|大手メディア3社で編集者・キュレーターとして従事→独立|趣味は投資・筋トレ・音楽鑑賞・ラップバトル観戦・コーヒー屋さん巡り