「メタバース課」にAIアバター職員

鳥取県とNOBORDER.z(ノーボーダーズ)は2日、同社が開発・提供するWeb3.0型メタバースプラットフォーム「XANA」上に鳥取県庁の架空の部署「メタバース課」を立ち上げ、自治体オリジナルAIアバターを職員第一号として採用することを発表した。

AIアバター職員は24時間365日、チャットや音声会話にてコミュニケーションが取れると強調した。AIアバター職員の名前は「八上姫」で、鳥取県を舞台とした神話「因幡(いなば)の白兎」が由来だという。

同日行われた記者会見で、メタバース課および八上姫が披露された。動画内では「鳥取の人口は?」との問いに八上姫が答える様子が映されている。

「メタバース関係人口」創出へ

鳥取県は今回の発表に際し、「メタバース課」ではメタバース上での情報発信を通じて「メタバース関係人口」を創出することを主な目的としていると説明。

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この取り組みによりNFTを活用した鳥取県を応援するプロジェクトやメタバース上で鳥取県の魅力を発信する動きなど「これまでにない新たな関わり方が生まれることを期待している」と述べる。

また、人口最小県である鳥取県は、かねてより人口減少や高齢化、コロナ禍による経済の衰退などの課題を抱えている。メタバース上での鳥取県の知名度を高め、「世界中の人たちと新たなつながりがうまれ、ゆくゆくは人口減少や高齢化など、様々な課題解決へもつなげていけるのではないか」とした。

AIアバターには、XANAのAIを搭載したオリジナルNFTコレクション「XANA:GENESIS」を活用している。自治体による活用の可能性検証を目的に、鳥取県がオリジナルにカスタマイズし、音声会話や感情表現が可能なAIを搭載したアバター職員が日本で初めて実現した。

XANAは今回の発表について「これは地方自治体全体との協力の始まりに過ぎない」とし、他の地方自治体とのコラボ実現を示唆している。

ノーボーダーズの日本展開

ノーボーダーズはニューヨークとドバイに拠点を置くエンターテイメントテクノロジーカンパニー。メタバースプロダクト「XANA」のほか、NFTマーケットプレイス「XANALIA」や両者の機能を統合したNFT(非代替性トークン)ゲーム『NFT DUEL』などを提供する。

同社による鳥取県とのコラボは2022年にさかのぼる。2022年2月、大手旅行会社JTBや大手クレジットカード会社JCB、手塚プロダクションとともに、鉄腕アトムと鳥取県の観光資源を組み合わせたNFTトレーディングカードを共同開発・販売。鳥取の観光資源のイメージと鉄腕アトムを組み合わせたNFTを計35種、約2万5,000点を発売した。

上述のメタバース課内のアートギャラリーには、鉄腕アトムと鳥取県の観光資源を組み合わせた画像などが展示される。

そのほか、人気コミックス『ULTRAMAN』のNFTゲーム化や実業家のイケハヤ氏がプロデュースするNFTコレクション「CryptoNinja」のNFTゲーム版のリリースなど著名IPとのコラボを多数発表している。

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参考:公式発表

参考:日本経済新聞

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