世界初のメタバースシンクタンク

一般社団法人Metaverse Japan(以下、MVJ)は2日、世界初のメタバースシンクタンク「Metaverse Japan Lab(以下MVJ Lab)」を設立したことを発表した。

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MVJは「日本の可能性をメタバースを通じて世界に解き放つハブとなる」をミッションとして掲げ2022年3月に設立された社団法人。メタバースに関する議論やガイドライン整備などを活動として行う。

暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン業界を含む様々な業界・企業の有識者により運営されている。以下は、MVJが公表しているロードマップだ。

出典:メタバースジャパン

Metaverse Japan Labの概要

MVJ LabはMVJの各種活動や、国内外の産官学組織と連携した社会実装や研究活動、発信・シンクタンク業務、ルール形成・国際標準策定などを行う。以下の3点をコンセプトとする。

  1. 「日本から世界へ」──日本発の取り組み・コンセプトのグローバル発信する。
  2. 「産官学の知が循環するテクノロジーハブ」──国際機関・企業との連携、ルール形成・国際標準策定を実施する。
  3. 「MVJ活動の横連携・社会実装推進」──MVJにおけるWG活動や各種活動を横串で連携し社会実装を推進する。

2022年6月に設立され、GoogleやMeta、Microsoftなど多数の大企業が参画するグローバルのメタバース標準化組織「Metaverse Standard Forum」や既に連携している世界経済フォーラム「World Economic Forum」との連携を加速して国内外で活動していく意向を示した。

ラボの責任者は近日発表予定で、名誉顧問はカーネギーメロン大学ワイタカー記念全学教授の金出武雄氏、顧問は東京大学大学院教授の江崎浩氏が務める予定。

また、MVJは同日、上記3つのコンセプトの実現に向けた5つの柱を提案した。

  1. 産業基盤強化──メタバーススタートアップ創出・育成支援、海外企業とのメタバース連携支援など
  2. 人材育成──クリエイター支援とクリエイターエコノミー創出、大学・高専と連携したメタバース人材育成など
  3. メタバース特区創出──自治体におけるメタバース特区創出、世界のメタバース有力企業の誘致・支援など
  4. ルール形成と国際標準──国際標準化・ルール形成戦略に向けた官民協議会設置、海外標準化機関との連携など
  5. ダイバーシティ&インクルージョン──メタバースを活用した就労支援、雇用機会創出補助金、途上国でのユースケース創出を含む支援など

国内のメタバース関連団体

メタバースをめぐっては、2021年に米国の旧Facebook社がメタバース事業参入を表明し社名を「Meta(メタ)」に変更して以来、世界中の大企業が関連事業参入に乗りだした。メタバースを普及・推進あるいは課題の整理、規制の整備を行おうとする団体も相次いで現れている。

国内でもメタバースの普及・推進などを目的とした関連団体が乱立しており、それぞれの団体の目的や主張が分かりにくくなっているとの指摘もある。以下は、MVJ以外の国内で立ち上げられた代表的な関連団体とその概要だ。

  • NPO法人バーチャルライツ──バーチャルリアリティ空間における表現の自由およびプライバシー保護を図る
  • 一般社団法人日本メタバース協会──ブロックチェーンやNFT、Web3.0など多種多様なメタバース関連ビジネスをサポートする
  • 一般社団法人メタバース推進協議会──メタバース内での生活文化・コミュニティの形成、ビジネスの普及・促進のためのルールメイクを行う
  • 一般社団法人日本デジタル空間経済連盟──業界横断の経済団体として、デジタル空間での経済活動を活性化し、日本経済の発展と豊かな国民生活実現に寄与する

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参考:公式発表1

参考:公式発表2

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