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ビットコインETFの来年中の日本解禁は絶望的か

業界関係者によれば、ビットコイン(BTC)のETF(上場投資信託)が2025年中に日本で認可され、東京証券取引所で取引できるようになる可能性は限りなくゼロに近い

国内暗号資産(仮想通貨)メディアCoinDesk JAPANが東京丸の内・大手町界隈でインタビューを実施した内容として報じた。

一体、なぜ日本でビットコインをはじめとした仮想通貨ETFが生まれないのだろうか。

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1.ビットコインETF解禁に立ちはだかる「2つの壁」

仮想通貨のETFは、今年になりビットコイン・イーサリアム(ETH)の現物型が初めて認可された米国をはじめとし、カナダ、ブラジルなど複数の国ですでに取引が行われている。特にビットコインETFは機関投資家による購入も手伝い、米国では上場から9カ月で8兆円もの巨額の資金流入を記録している。

一方、日本は仮想通貨のETFは認可されておらず、海外諸国に競争力の面で劣後しているとの声も上がっている。

日本で仮想通貨ETFが認可されない理由について記者が関係者に話を聞いたところ、金融規制と税制の問題が複雑に絡み合う現実が見えてきたという。具体的には以下の2つの障害がある

  • 投信法
  • 税制

1-1 投信法の「特定資産」にビットコインを組み入れる必要性

投信法(投資信託及び投資法人に関する法律)は、投資信託の組成時に関係する法律。現行法では、組成する投資信託の資金で投資できる「特定資産」にビットコインなど仮想通貨は含まれていないため、特定資産にビットコインを組み入れるには、投信法の改正が必要となる。

これについて、金融庁長官の井藤英樹氏は8月にブルームバーグの取材に対し「投資信託は国民の長期的・安定的な資産形成を目的に作られた制度であり、暗号資産はその制度に沿うかというと必ずしもそうではないという見方も多い」と述べている。

鈴木俊一財務大臣も8月に別の会見でこの件について「制度改正してビットコインなどの暗号資産を主たる投資対象として認めることについては、暗号資産が趣旨に沿った資産であるか否かについて慎重に検討する必要がある」としており、両者とも投信法の改正に慎重な姿勢を示している状況だ。

1-1-1 投信法の規制を回避するスキーム

一方、CoinDesk JAPANの記者は投信法の規制を回避する手段として、「信託法」という別の法律の下で、「受益証券発行信託」と呼ばれる手法によりビットコインETFを作ることができるのではないかと提案している。受益証券発行信託とは、資産を信託して「受益証券」という有価証券にすることで、その資産の取引や流通を促す仕組みのこと。

実際、三菱UFJ信託は2010年にこのスキームを活用して「金の果実」という名称の金(ゴールド)に紐づくファンドを組成している。受益証券発行信託のスキームであれば、投信法は適用されないため仮想通貨ETFを組成できるのではないかという提案だ。

これに対し、業界関係者からは「法的・制度的に不可能ではない。探求する価値はあるが、前例がない」との声が聞かれたという。

1-2 税制改正

日本では仮想通貨取引によって発生した利益は、雑所得として扱われ、最大55%の総合課税が適用される。一方、有価証券であるETFは分離課税で税率は一律20%とされる。

現行制度で仮想通貨ETFが解禁された場合、多くの仮想通貨投資家が税制面で有利な仮想通貨ETFに流れてしまうと一部の交換業者が懸念を示しているという。

また、解禁された仮想通貨ETFが20%の分離課税であれば、仮想通貨の現物に対しても同じ条件の税制にするよう求める声も上がっているという。

解禁により競合することになり得る仮想通貨交換業者の事情も重石になっているということだろう。

2.ビットコインETF解禁後にも待ち受ける壁

仮に上記の2つの壁を乗り越え、ビットコインETFの国内解禁に漕ぎつけたとしても、BTCの調達資金や日本円の海外への送金といった新たな問題に直面するだろうと関係者は話す。

ビットコインETFを運営するには、投資家から日本円を集め、大量のビットコインを競争力のある価格で調達する必要がある。資金力の問題に加え、機関投資家向けの大口のBTC取引の実績が日本にはない。

また、BTCを調達するには日本円の国際送金を主にメガバンクを介して行う必要があるが、メガバンクは類似したケースにおける送金依頼を拒んできた過去がある。マネロン防止などの観点から、他業務にもリスクを与え得る取引は請け負わないという判断をしても不思議でないという。

2-1 ビットコインETF解禁後が生み出す商機

ビットコインETFが解禁されれば、米国などで普及しているBTCの保管・管理を行うカストディサービスが必要となる。すでに国内解禁を見据えたカストディ参入の機運は高まっている。

bitFlerを擁するbitFlyer Holdingsは7月にFTX Japanを買収。FTX Japanを「Custodiem」に商号変更したうえでカストディ(仮想通貨預託)事業参入を表明した。

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また、SBI VCトレードを擁するSBIホールディングスも同月に米資産運用大手フランクリン・テンプルトンと共同でデジタル資産を取扱う運用会社の設立予定を発表している。

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3.金融庁の制度見直しが追い風になるか

先述の障害が重しとなる一方で、追い風も吹き始めた。

ブルームバーグが9月に報じたところによると、金融庁は仮想通貨規制を見直し、金融商品取引法(以下、金商法)の対象とすべきかを議論する可能性がある。

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現状では資金決済法のもと規制されている仮想通貨に金商法を適用することになれば、「仮想通貨は決済手段ではなく金融商品・金融資産である」と位置付けられ、仮想通貨ETFの国内解禁および税制改正の実現可能性が高まる。

CoinDesk JAPANの記者の取材によれば、制度の見直しは少なくとも年末まで続く。現時点で、議論の方向性は決まっておらず飽くまで「ニュートラル」な立場で議論が行われている。

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参考:CoinDesk JAPAN

coindog編集長
仮想通貨ブロガー/投資家
早稲田大学卒|元業界関係者で現coindog編集長🐶|2020年から仮想通貨投資を開始|大手メディア3社で編集者・キュレーターとして従事→独立|趣味は投資・筋トレ・音楽鑑賞・ラップバトル観戦・コーヒー屋さん巡り

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