仮想自治体「美村(びそん)」

大日本印刷株式会社(以下:DNP)、株式会社三十三銀行、ヴィソン多気株式会社、MRT株式会社、株式会社オリエンタルコンサルタンツなどは19日、一般社団法人三重広域DXプラットフォームを設立したことを発表した。

三重広域DXプラットフォームは、三重県中・南部の多気町・大台町・明和町・度会町・紀北町を連携させて一つの仮想自治体「美村(びそん)」とし、「美村PAY」など共通のデジタルシステムを活用した魅力的な地域づくりおよびブランド強化を図る

今回の取り組みは、岸田政権が推進するデジタル田園都市国家構想の「三重広域連携モデル事業」の一環でもある。「三重広域連携モデル」は、上記の5町が連携して取り組むDX(デジタルトランスフォーメーション)による町おこしのプロジェクトであり、2022年6月にデジタル田園都市国家構想推進交付金に採択されている。

第一弾の施策は

5つの町は、行政区域の枠を越え、デジタル技術を活用した各種社会問題の解決に向けた取り組みで連携している。

今回、この取り組みをさらに推進するために2021年に多気町に開業した複合リゾート施設「VISON(ヴィソン)」をいかし、5町をひとつの仮想自治体「美村(びそん)」としてブランド化し、魅力的な地域づくりの取り組みを強化する方針を示した。

第一弾として打ち出した施策は以下の通り。

  • デジタル地域通貨アプリケーション「美村PAY」導入
  • 地域共通ポータルサイト「美村」
  • 広域観光ポータルサイト「美村」
  • データ連携基盤

地域住民や観光客を対象に、多気町・大台町・明和町・度会町の4町限定のデジタル通貨「美村PAY」を発行する。QRコード決済可能で、加盟店で買い物をするとポイントが付与される仕組み。地域の購買促進と地域事業の活性化を狙う。

地域共通ポータルサイトでは、参画4町(多気町・明和町・大台町・度会町)を対象として、地域住民にイベントや特産物など地域情報を発信するほか、地域を活性化するイベントやサービスとの連携を促進。また、デジタル地域通貨と連動することで購買促進を図る。さらに、家事や子育てなど、地域の困りごとの発信と手助けしたい人とのマッチングも実施し共助活動を促す。

広域観光ポータルサイトでは、 参画4町(多気町・明和町・大台町・紀北町)を対象として、地域の魅力を発信する観光ポータルサイトを展開。広域連携スーパーシティ推進協議会にも参画している一般社団法人オール・ニッポン・レノベーションが地域アンバサダーとともに情報発信を行う。また、ポータルサイト「美村」から各施設やアクティビティを予約できる機能も実装予定とした。

さらに、地域における複数分野のデータの連携・活用を目的とし、デジタル庁の推奨仕様に準じた地域データ連携基盤を構築する。

今後の展望として、「2023年度以降は、観光・生活の両面からデジタル基盤を発展させ、マイナンバーカードを活用した地域の周遊促進・公助のデジタル化や、地域の新たな収益構造の構築を行う」とした。

VISONとは

VISONは全国初のスマートインターチェンジと直結の民間施設で、東京ドーム24個分の広さの敷地に多種多様な店やホテルが立ち並ぶ。同施設は2022年2月にデジタル地域通貨「Mie-coin」の導入を発表し、周辺の多気町、大台町、大紀町、紀北町、度会町、明和町の6つの町に利用を広げる方針を示していた。

出典:VISON公式サイト

6つの町はAI(人工知能)やICT(情報通信技術)など先端技術を活用し、複数の分野で住みやすい街を実現する国の「スーパーシティ構想」の指定を目指すとしていた。

参考:公式発表

参考:資料

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