仮想通貨の法人税のルールを改正

国税庁は20日、「法人税基本通達等の一部改正について」と題する法令解釈通達を公表した。その中で、企業が自社で発行した暗号資産(仮想通貨)について、条件付きで時価評価の対象外とすることが定められた。

この改正については、自民党が2022年12月に発表した令和5年度の「与党税制改正大綱」にも盛り込まれていたが、今回の国税庁の通達により、正式に決定した。

関連記事:国税庁、仮想通貨法人税の期末時価評価に関するガイダンスを公開

関連記事:国税庁、NFTの税務上の取扱いについてガイドラインを公開

詳細

文書の「暗号資産」の項目では、法人が自己発行した仮想通貨について以下の両方の条件を満たす場合に時価評価の対象外とする旨が記載されている。

  1. 自己が発行した暗号資産でその発行の時から継続して保有しているものであること
  2. その暗号資産の発行の時から継続して次のいずれかにより譲渡制限が付されているものであること
    • 他の者に移転することができないようにする技術的措置として一定の措置がとられていること
    • 一定の要件を満たす信託の信託財産としていること

発行した企業が発行時から継続的に保有しており、一定の譲渡制限が設けられている仮想通貨が時価評価の対象から外されることとなった。

なお、「他の者に移転することができないようにする技術的措置」の例として、ロックアップコード(条件成立まで対象となる仮想通貨の移転を不能にする条件式)に一定期間の経過が条件として定められているものの設定をする措置や、仮想通貨の移転を可能にするために必要な条件として複数の秘密鍵を設定し、それらの秘密鍵を関係者以外の者を含む複数の者でそれぞれ管理する措置が挙げられている。

国内ではIEO(イニシャル・エクスチェンジ・オファリング)などで企業がトークンを発行する事例が増加しているが、今回の改正により上記の条件を満たせば税務上、帳簿価額(帳簿に記帳された取得時の取得価格)で評価できる。

有識者の見解

企業が保有する仮想通貨の含み益に対して期末時に課税が発生する従来の法律は、仮想通貨企業および人材の国外流出を招き業界の発展を阻害すると問題視されていた。

今回の発表を受け、上記の問題に声を上げ続けていたアスター・ネットワーク(ASTR)創設者の渡辺創太氏や仮想通貨の税制改正など諸問題に積極的に取り組む自民党web3PT座長平将明氏は、以下のように述べた。

両氏の指摘する通り、今回改正が取り決められたのは自社発行トークンについて。他社が発行したトークンに課せられる法人税については依然課題が残るが、平氏はこの点についても改正に意欲を示している。

関連記事:DMMグループ、web3PJ「Seamoon Protocol」を発表 独自トークン「DM2P」発行へ


参考:国税庁

参考:CoinPost

関連記事

関連記事はありません。