※本記事はプロモーション広告を含みます。
国内上場企業がビットコイン(BTC)を購入へ
東証スタンダード市場に上場する株式会社メタプラネットは8日、新株予約権の譲渡により調達した資金で10億円分を上限とするビットコイン(BTC)の購入予定を発表した。
同社はWeb3分野のコンサルティング、不動産の開発、事業投資などをグローバルに展開する企業。
なお、法人の暗号資産(仮想通貨)保有をめぐっては、これまで売却をしていなくとも含み益がある場合期末に課税されることとなっていたが、2024年4月1日の法人税法および暗号資産交換業者に関する内閣府令の一部改正により、一定の要件を満たせば期末時価評価課税の適用除外が行われることとなった。
ビットコイン(BTC)購入の理由
同社は新株予約権の譲渡により調達予定の9.35億円のほぼすべてをビットコインの購入に充てると述べた。また、購入したビットコインは単に保有するだけでなく運用して収益を得る方針であると明かした。
ビットコインを自己資産に組み入れること決定をした理由については、以下の5点を挙げた。
- インフレと通貨ヘッジ──インフレと日本円の購買力低下のリスクを避ける手段として
- マクロ経済の不安定性──世界経済の不確実性が増す中、ビットコインは特定の国の政策や景気の影響を受けにくい
- 主要国・金融界での受け入れと成長の可能性──米国でのビットコインETF承認および機関投資家による採用
- 固定供給とデジタル希少性──2100万枚という発行上限
- 技術革新の活用──資金管理の方針にデジタル革新を活用する意思表示
さらに、「米国を中心とした一部の上場企業の動向にみられるように、今回調達した資金をキャッシュ・マネジメント戦略の一環としてビットコインに投資・保有することで保有通貨を分散し、日本円のエクスポージャー(特定のリスクにさらされた状態)を低めたポジションを構築する予定」と述べた。
同社はビットコインについて、ボラティリティ(価格変動率)が高い側面は認めつつも、「長期的に見た場合には価値が恒常的に上昇しており、長期保有に適している」との考えを示した。
ビットコイン(BTC)購入の背景
ビットコイン購入の背景には、同社の資金繰りの悪化がある。メタプラネットは2022年にWeb3およびメタバース事業への本格参入を表明。
既存の不動産事業にNFTやメタバースを取り入れ刷新した「WEN Tokyo」、日本の芸術家、クリエーターなどがNFTを作成し世界に向けた販売を目指すプロジェクト「Takumi-X」、簡単にNFTの作成・保管・売買ができる「NFTプラットフォーム」の事業に取り組む方針を示していた。
しかし、上述のWeb3およびメタバース関連事業が現時点で収益化の目途が立っておらず、さらに2023年2月に投資ファンドのEVO FUNDおよび投資企業MMXXベンチャーズ・リミテッドに対して発行した新株予約権(行使価格を払い込むことでそれを発行した会社に新株を発行させる権利のこと。主に、役員等に対するインセンティブ報酬、資金調達などに活用される)が本日にいたるまで行使されていないと説明。
そのような状況下で、2024年3月、新株予約権を取得後に直ちに行使してくれるという譲渡先が現れたため、同社は資金調達につながると考え、取締役会にて譲渡を承認する旨の決議を行った。
新株予約権の譲渡先は、ブロックチェーン事業とデジタル資産投資を行う大手ベンチャーキャピタル「Sora Ventures」や、ビットコイン・マガジンの発行者であり投資ファンドの「UTXO Management」がゼネラルパートナーとなっているファンド「210k Capital,LP」、その他、OKグループの最高戦略責任者やCircleのマネージングディレクターなどを歴任した実業家のChengqi (Jack) Liu氏をはじめとした投資家により構成される。
メタプラネットは、株主の承認を前提に、将来的に譲渡先の数名を同社の取締役に推薦する方針で、それによりガバナンスが一層強化された取締役会になると述べた。
高まる上場企業によるビットコイン保有の機運
今回のメタプラネットの発表でも言及されていたが、1月に米国の証券取引委員会(SEC)がビットコインの現物型ETF(上場投資信託)を承認したことにより、世界的に仮想通貨投資の機運がさらに高まったといえる。
ビットコインを大量保有する企業としては米マイクロストラテジーが有名だ。これまで幾度となく購入を発表し、総保有量は総発行数の1%を超える21万枚を超えており、これは1140億円に相当する。
日本でも東証プライム上場のネクソンをはじめ多数の上場企業がビットコイン保有を明かしている。4月に入り施行された前述の法改正によりこの動きが加速する可能性がある。
また、3月には日本の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、資産運用の多様化を目的とし、金や農地、森林、ビットコインに関する情報提供を求める発表をし反響を呼んだ。
GPIFは、厚生労働大臣から寄託された年金積立金を管理・運用する公的機関。世界最大の年金基金の1つで、運用資産は225兆円にのぼる。
あくまで情報収集の段階のため、ビットコインを含む上記の資産に投資することを決定しているわけではないが、投資を検討していることが示唆された意義は大きい。
参考:公式発表①
参考:公式発表②