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「コインチェックIEO」第1弾を解説
2021年7月、国内暗号資産（仮想通貨）取引所として初めてコインチェックがIEO（イニシャル・エクスチェンジ・オファリング）を実施しました。
IEOとは、企業やプロジェクトが仮想通貨を活用した資金調達を行うことを目的とし、発行したトークンの販売を仮想通貨交換業者に委託する仕組みのこと。仮想通貨交換業者が主導しトークン販売や上場を実施します。
コインチェックのIEOプラットフォーム「コインチェックIEO」にて国内初のIEO対象となったプロジェクトは、株式会社HashPaletteが開発する「パレットトークン（PLT）」。
本記事では、「コインチェックIEO」の概要、第1弾PLTのIEOとその後の躍進の振り返り、およびプロジェクト概要を解説します。
以下は、国内取引所のIEO銘柄を実施予定のものを含め網羅した記事です。併せてご覧ください。
- コインチェックIEOとは
- コインチェックIEO第1弾：パレットトークン（PLT）のIEO結果は
- コインチェックIEO第1弾：パレットトークン（PLT）とは
- パレットチェーン（PLT）の注目の活用事例
- コインチェックIEO第1弾：パレットトークン（PLT）まとめ
目次
1.コインチェックIEOとは
「コインチェックIEO」は、コインチェックが企業やプロジェクトによる仮想通貨を活用した資金調達やコミュニティ形成を支援するためのプラットフォーム。同社が発行体の事業内容や資金調達の用途および発行されたトークンの審査・販売を行います。
IEOに参加した投資家はトークンを取得でき、取得したトークンはコインチェックの取引所サービスで売買や様々なサービスで活用できます。また、コインチェックIEOでは、最小注文数量が低めに設定されているため、リスクを抑えて少額から参加できます。
2021年7月に開始した同サービスでは第1弾プロジェクトとして「パレットトークン（PLT）」が選定されました。コインチェックIEOに参加するには、コインチェックで口座開設する必要があります。
1-1 パレットトークン（PLT）発行体のHashPaletteとは
株式会社HashPaletteは、エンタメ分野のNFTに特化したブロックチェーン「パレット（PLT）」やNFTゲーム『THE LAND エルフの森』などの開発企業。
コインチェックにて、国内で初めてIEOによる資金調達およびトークン上場を行い、2024年3月にはパレット上で発行される仮想通貨「エルフトークン（ELF）」のIEOをbitFlyerにて実施した企業でもあります。
同社は上記の開発のほか、PLTを補完・管理できるウォレット「PLTウォレット」やNFTマーケットプレイス「PLT Place」提供、譲渡不可のNFTであるSBT（ソウルバウンドトークン）の開発なども手掛けています。
親会社の株式会社HashPortは、ブロックチェーン領域のトータルソリューションを展開。2025年の大阪・関西万博や仮想通貨交換業者を含む金融機関へのWeb3ウォレットの提供、SBTを活用したIDシステムの提供、Web3領域のコンサルティング・システム開発などを行っています。
2.コインチェックIEO第1弾：パレットトークン（PLT）のIEO結果は
コインチェックIEOの第一弾、かつ国内初のIEO対象となったプロジェクトは、「パレットトークン（PLT）」。
2021年7月に購入申し込みが開始されると、開始後わずか6分で申込金額が調達目標金額の「9億3,150万円」を突破。同月20日の抽選倍率は24.4倍、およそ6万人が参加し、その時点での販売価格は227億円に上りました。
この調達額は一般的な海外取引所のIEOによる調達額を大きく上回る額で、コインチェックユーザーしか参加できない制約があったにもかかわらず大きく成功を収めた本IEOは国内外で注目を集めました。
PLTのIEOでの販売価格は4.05円でしたが、コインチェックへの上場初日にその11.5倍の46円を記録。その後も価格は上昇を続け、2021年8月23日に過去最高値の98円（IEOの販売価格の約24倍）を付けました。
2022年より続いている仮想通貨市場の弱気相場の影響で現在価格は7円付近まで下落していますが、それでも販売価格の1.8倍以上の価格です。
PLTは、コインチェックへの上場後は国内ではOKCoinJapan、コイントレード、フォビジャパンと取扱い先を着々と増やしています。また、パレットチェーンを基盤とした各種プロダクトで活用されている他、様々な企業やプロジェクトとの提携を実現させる（詳細は後述）など国内初のIEOは好発進を切ったと言えます。
3. コインチェックIEO第1弾：パレットトークン（PLT）とは
パレットトークン（PLT）は、国内ブロックチェーン企業HashPaletteが開発するNFT（非代替性トークン）特化型のブロックチェーン「パレットチェーン」の独自仮想通貨。PLTは、ガス代（ネットワーク手数料）の支払いやNFTの売買などに利用されます。
関連記事：日本政府も有力視するNFTの全容｜なぜデジタル作品が数十億円に？
パレットチェーンは漫画・アニメ・音楽などエンタメコンテンツをNFTとして流通させることに特化したブロックチェーン。大手仮想通貨取引所3社、東証プライム上場企業2社を含む計12社をコンセンサスノード（ネットワークの運営）に迎え、共同運営しています。
また、パレットチェーンはガス代（ネットワーク手数料）の高騰など通常の汎用型ブロックチェーンが抱える課題の多くを克服しています。
イーサリアム（ETH）などのチェーンではDeFi（分散型金融）やNFTゲームなど様々なアプリケーションが存在し、利害が混在するためガス代の価格が不安定になる傾向があります。一方で、パレットチェーンではエンタメ領域のNFTに特化しユースケースを限定することにより、ガス代を安定させ一般ユーザーのガス代無料を実現しました。
資産を他のチェーンに移転できる機能（クロスチェーン）もあり、パレットチェーンからイーサリアムやオントロジー（ONT）などのブロックチェーンにNFTを移転させることも可能です。移転可能なチェーンは今後拡大予定とされています。
4 パレットチェーン（PLT）の注目の活用事例
すでに様々な用途で活用されているパレットチェーン（PLT）ですが、ここでは注目の事例や進行中のプロジェクト紹介します。
4-1 各種NFTゲーム
パレットチェーン上には、HashPaletteが提供する以下のようなNFTゲームが構築されています。
- 『The Land エルフの森』
『The Land エルフの森』は、メタバース型ファーミングNFTゲーム。
ゲーム内で自分の町を建設して作物を育て、NFT化して取引を行い報酬を得ることができるほか、街やギルド対抗の釣り⼤会をはじめとする各種⼤会などトークンを活⽤した新しい形のファーミングが体験できます。
ゲーム内トークンのELFは2024年2月にbitFlyerがIEOを行い、翌月に同取引所に上場しています。
- 『ELF Masters』
『ELF Masters』は、ファンタジー系のNFTキャラクターを育成しパーティを組んで戦う「Play-to-Earn（遊んで稼ぐ）」のバトルゲーム。ゲーム中のモンスターや他のプレイヤーと対戦することでPLTを獲得できます。
4月30日をもってサービス終了および『The Land エルフの森』への統合予定が発表されています。
- 『CryptoNinja Party!』
『CryptoNinja Party!』は、実業家のイケダハヤト氏が運営する忍者キャラクターのNFTシリーズ「CryptoNinja NFT」をNFTゲーム化したタイトル。
「Play-to-Earn（遊んで稼ぐ）」のパーティ型ソーシャルゲームで、プレイヤー同士で協力・対戦プレイをして、ミニゲームを楽しめます。ゲーム内通貨にはPLTとCryptoNinja Party!トークン(CNPT)が活用されています。
CNPTはOKCoinJapanにてIEO（イニシャル・エクスチェンジ・オファリング）実施が検討されていましたが、同タイトルが2024年3月にサービス終了したことにより頓挫しました。
4-2 RIZAPと共同で仮想通貨・NFT活用のプロダクトを開発中
HashPaletteとパーソナルトレーニングジムを運営するRIZAP株式会社は、共同で2024年のリリースを目指し「Workout to Earn」プロダクトの開発プロジェクトを進行中です。
同プロジェクトでWeb3ヘルスケアエコシステムを構築するべく、HashPaletteが開発・提供主体となりパレットチェーン上で稼働するNFTゲームを構築します。
仮想通貨やNFTを活用し、仮想通貨やNFTを獲得できるNFTゲームによってユーザーの健康増進モチベーションの維持と向上を図る狙いです。将来的にはRIZAPの提供する各種サービスとの連携も視野に入れています。
関連記事：HashPaletteとRIZAP、パレット基盤の「Workout to Earn」プロダクトを2024年にローンチへ
4-3 ラグジュアリーホテル「シックスセンシズ 京都」の宿泊券NFT
HashPaletteの親会社HashPortは、2024年4月にグランドオープン予定で日本初上陸となるラグジュアリーホテル「シックスセンシズ 京都」の宿泊契約締結の申込ができる権利が付帯したNFTの発行支援を行い、同ホテルブランドの運営に携わるウェルス・マネジメントグループが同年3月に販売開始しています。
シックスセンシズは、世界的なホテルチェーンのIHG Japan Management合同会社（インターコンチネンタル・ホテルズ・グループ）が運営する世界有数の絶景の大自然に囲まれた立地に展開する高級ホテルブランド。
販売されるメンバーシップNFTでは、以下の2種類のプランが用意されています。
一年に一度メンバーシップNFTの保有者のアドレスには、「チェックインNFT」がエアドロップされ、当該NFTを利用して宿泊予約を行い対象のホテルに宿泊できる仕組みになっています。
5.コインチェックIEO第1弾：パレットトークン（PLT）まとめ
コインチェックIEOの概要と第1弾対象プロジェクト「パレットトークン（PLT）」について、IEOの実績やプロジェクト概要を解説しました。PLTのIEO成功と上場後の躍進により、投資家の間で第2弾以降への期待が高まっています。
解説の重要ポイントをまとめると、以下の通りです。
- コインチェックIEOは、2021年7月にコインチェックが提供開始したIEOサービス
- IEOの抽選申し込みに参加するには、コインチェックでの口座開設が必要
- 第1弾対象プロジェクト「パレットトークン（PLT）」は目標金額の「9億3,150万円」を大幅に上回る227億円を調達
- PLTは2021年8月に過去最高値となる98円を付け、販売価格の約24倍を記録
仮想通貨ブロガー/投資家
早稲田大学卒｜元業界関係者で現coindog編集長🐶｜2020年から仮想通貨投資を開始｜大手メディア3社で編集者・キュレーターとして従事→独立｜趣味は投資・筋トレ・音楽鑑賞・ラップバトル観戦・コーヒー屋さん巡り