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FTX Japan買収の狙い
暗号資産(仮想通貨)取引所を運営する株式会社bitFlyerの加納裕三CEOは、20日に発表したFTXトレーディングの日本法人FTX Japanの買収合意について、その狙いや今後の戦略について明かした。
日本経済新聞が同氏に行ったインタビュー内容として22日に報じた。
bitFlyerの親会社であるbitFlyer Holdingsは、FTX Japanの株式100%を取得する株式譲渡契約を6月19日付でFTX Japan Holdings株式会社と締結。
FTX Japanの社名を変更した上で、新会社としてクリプトカストディ(仮想通貨預託)事業を展開、日本の法整備を前提とした仮想通貨現物ETF関連のサービスの提供方針を示した。
加納氏は「このビジネスを日本においてゼロから作り上げたい。グループ全体の経営戦略の大きな柱にしていく」と述べている。
ただし、FTX Japanは米国デラウェア州破産裁判所の訴訟手続きの対象となっており、bitFlyerによる事業継承は米国破産裁判所による承認が必要となる。
— 加納裕三@bitFlyer (@YuzoKano) June 21, 2024
なぜ、FTX Japanを買収するのか?
加納氏は顧客基盤が縮小したFTX Japanを買収する理由について、「ライセンスにある。暗号資産交換業と第一種金融商品取引業の両方を持っている。カストディー事業をやるにはこのライセンスが必要」と述べた。
第一種金融商品取引業とは、流動性の高い有価証券の売買、店頭デリバティブ取引、資産管理などを行う業務のこと。
bitFlyer社はレバレッジ取引サービスの提供にあたり、このライセンスを取得しているが、カストディ業を行うにあたり会社を分けることがブランディングの観点で重要との考えを示した。
さらに「競合他社はbitFlyerに資産を預けたいとは思わないだろう。FTX Japanはカストディという社会の公器として、ガバナンスも経営も分離して中立な立場でやるという扱いにすれば、海外も含めて顧客が一定程度増えるのでは」とあえてFTX Japanを買収した上でカストディに参入する狙いを明かした。
日本経済新聞の記者の「米裁判所の資料によると買収額は45億円です。買収価格は妥当なのでしょうか?」との質問には、「買収額は我々から開示していない」としたうえで、ライセンスの取得には数十億円を調達し2年ほどの時間がかかると説明し、時間とコストを理由に挙げた。
セキュリティ技術を業界に還元
5月にDMMビットコインで発生した巨額のビットコイン(BTC)の不正流出にも話題が及ぶ。
bitFlyerの事業で培ったセキュリティ技術を業界に還元できないかと考えていたと明かした。
資金力がなくセキュリティに投資できない交換業者がFTX Japanのカストディ事業にアクセスできるようにすることで、業界のインフラとなる構想を明かした。
仮想通貨ETFの提供は可能なのか?
FTX Japan買収後の新会社では、仮想通貨ETFの提供を視野に入れている。
日本ではまだ仮想通貨ETFの提供は法律上認められていないが、加納氏は日本の行政や業界団体でもETFの議論が盛んになっている現状を鑑みれば、いずれ日本でも解禁されるだろうとの観測を披露。
今年1月に米国で承認されたビットコインETFが売れ行きが好調であることを引き合いに出し、日本で解禁されれば多額の資金が流入するだろうと予測した。
仮想通貨取引所FTXジャパンの現状
FTX Japanは、グループ会社のFTXトレーディングが経営状況の悪化により2022年11月に破産申請したのを受け、同年破産申請した。
同社が運営する仮想通貨取引所FTXジャパンについては業務停止処分を受けていたものの現在は解除されているが、同社は「業務再開に必要な態勢整備が図られるまでの期間において休止する」とし、現在に至るまでサービスは再開されていない。
資産の国内保有命令と業務改善命令は現在も継続しており、「利用者への資産の返還を含めた業務改善計画を着実に実施しつつ、関係法令を遵守しつつ態勢の整備と強化等に努める」と説明している。
同社は顧客への資産返還を2023年2月に開始し、旧プラットフォームである「Liquid by FTX Japan」への資産移管サービスを2024年6月19日まで提供していた。
20日より同社にてLiquid by FTX Japanへの移管に関する処理を実施すると説明している。
なお、bitFlyerはFTXジャパンの買収にあたり、顧客の同意を得たうえで、資産をbitFlyerの口座に移管する方針もあわせて発表していた。
参考:日本経済新聞
仮想通貨ブロガー/投資家
早稲田大学卒|元業界関係者で現coindog編集長🐶|2020年から仮想通貨投資を開始|大手メディア3社で編集者・キュレーターとして従事→独立|趣味は投資・筋トレ・音楽鑑賞・ラップバトル観戦・コーヒー屋さん巡り