トレーサブルNFTと日本酒トークン
三菱UFJ信託銀行株式会社とSBIトレーサビリティ株式会社は31日、「デジタルアセット共創コンソーシアム(以下、DCC)」において、個々の商品との紐づけをし、真正性を客観的に明示できる「トレーサブルNFT」の基盤創りおよび、日本酒業界の課題解決を目的とした「日本酒トークン」の発行を目指すワーキンググループ(WG)の設置と検討開始を発表した。
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DCCは三菱UFJ信託銀行が主催する、デジタル資産全般を対象とした新たな経済圏(エコシステム)の創出を目的とした枠組であり、2022年9月時点で会員企業数は134社に上る。
2022年11月には、DCC内に「パーミッションレス型ステーブルコイン・ワーキンググループ」を設置し、三菱UFJ信託銀行が開発したNFT(非代替性トークン)を含む各種デジタルアセットの発行プラットフォーム「Progmat(プログマ)」を活用したステーブルコイン「Progmat Coin(プログマコイン)」を作成するプロジェクトも実施されている。
「トレーサブルNFT」とは
「トレーサブルNFT」とは、Progmatと、SBIトレーサビリティが提供する個々の商品などが本物であると明示するためのトレーサビリティ基盤「SHIMENAWA(しめなわ)」を組み合わせて発酵される、現実社会の商品の所有権や債権などの権利と紐づけられたNFTを指す。
NFTと現実社会の商品との紐づけが不明確な場合、ブロックチェーン上でNFTを取得・保有したとしても現実社会においてその商品の権利が取得できていないなどの問題が発生し得るためNFTの価値が棄損する可能性がある。
トレーサブルNFTにより、「NFTの移転を以て個別商品等に係る権利も確実に移転し、NFT保真有者が『真の権利者』として、紐づけられた個別商品等に係る権利行使(物理的な引き渡しや、付随する各種利用権等の取得)を安定的に行うことを可能にすることを目指す」と説明した。
日本酒トークン発行の経緯
酒販においてグローバル市場を席巻するのはワインやウイスキーであり、それらが「熟成」や「ヴィンテージ」を主な価値基準とするのに対し、日本酒は一般的に「精米歩合(玄米の表層を磨いて残った米の割合)の低さ」により価値が高まる傾向にある。
日本酒がグローバルスタンダードに対抗するには、古酒や熟成酒を醸造する試みが必要であるが、酒造会社の資金繰りなどの観点で難しかった。
両社は「トレーサブルNFT」の仕組みを日本酒に適用した「日本酒トークン」の発行により、商品やトレーサビリティ情報を紐づけた日本酒(醸造・熟成段階)に関する権利をNFTとして先行・小口販売することにより、古酒や熟成酒へ挑戦する酒造会社の資金調達を可能にし資金繰りの課題の解決を目指す。
当該NFT保有者は、当該権利を熟成期間中にNFTとして第三者へ譲渡し資金化することや、権利を行使し「日本酒」(瓶)を紐づけたNFTに転換し、直接利用(飲酒)または第三者への譲渡が可能となる。
日本酒トークンの権利移転はブロックチェーン上で行われるため、グローバル市場にもアプローチできる。
「日本酒トークンWG」の概要
日本酒トークンWGは、日本を代表する酒造会社や酒類販売店のオブザーブの下、酒造会社や酒類販売店、ブロックチェーン技術提供会社、ECプラットフォーム技術提供会社、および法律事務所等の計13組織とともにDCC内に発足。三菱UFJ信託銀行を事務局とし、酒造会社としては木戸泉酒造株式会社が、酒類販売店としては株式会社フォーブル(いにしえ酒店)が参画する。
技術協力者には以下の5社が名を連ねる。
- 株式会社オープンゲート
- SBI R3 Japan株式会社
- SBIトレーサビリティ株式会社
- 株式会社エヌ・ティ・ティ・データ
- 株式会社Datachain
同WPにおいて「トレーサブルNFT」及びユースケースとしての「日本酒トークン」の発行に向け、共同で検討を開始し、関係機関との協議を進める。
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参考:公式発表