メタバース上の模倣品を規制
日本政府が23日召集の通常国会で提出する不正競争防止法、特許法や商標法など知的財産関連6法の改正案の内容が判明した。改正案には、メタバースなど仮想空間上の模倣品販売の規制も含まれる。
模倣品の規制対象が、実体のあるものだけでなくデジタルなものに対しても広げられることになる。
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改正案の内容は
不正競争防止法は、事業間の過度な競争を抑制し、公正な競争を促すための法律であるが、現行法ではメタバースなど仮想空間上での販売は想定されておらずデジタルな模倣品が販売される懸念があった。
改正案では、模倣品の販売・譲渡の差し止め請求などを可能にする。主に仮想空間上でアバターが身に着ける衣服や小物などを念頭に置いたものだ。
また、商標法改正案ではデザイナーなどの氏名の商標登録を認める。現行法では指名の商標登録は認められていないが、同姓同名の他人がいる可能性を考慮してその権利を保護する方針。
自身の名前を商標登録するには、同じ氏名の人達の承諾が必要になるが、それらすべての人を探して承諾を得るのは事実上不可能のため、原則的に「他人の承諾なしで登録可能」とする。
国内におけるメタバースの機運
メタバースについては、2021年に米国の旧Facebook社がメタバース分野に注力する方針を発表したことに伴い社名を「Meta(メタ)」に変更。それを皮切りに世界中でメタバースがトレンドとなり、あらゆる業界の大企業などが同分野への参入を表明している状況だ。
日本国内でもその機運は高まっている。政府は2022年6月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2022(骨太方針2022)」において、Web3の推進・メタバース(仮想空間)を含めたコンテンツの利用拡大に向け、2023年通常国会での関連法案の提出を図ると述べた。
同年12月には経済産業省が「Web3.0時代におけるクリエイターエコノミーの創出に係る調査事業」の実証事業イベント第1弾を実施を発表し、民間3社に委託しメタバースやNFTを作成。イベント実施で得られた知見をもとにこれらの技術的課題を整理するとともに、クリエイターエコノミーの発展に向けた施策の検討を進めるとした。
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参考:日本経済新聞
参考:朝日新聞