新たなステーブルコイン発行へ

暗号資産(仮想通貨)取引所を運営するBinance Japan株式会社は26日、三菱UFJ信託銀行株式会社とともに新たなステーブルコインの発行に向けた共同検討を開始したと発表した。

円貨建てと外貨建ての双方を対象とした国内規制に準拠する新たなステーブルコイン発行を目指す。また、発行にあたっては、三菱UFJ信託銀行が開発するステーブルコインの発行・管理基盤「Progmat Coin(プログマコイン)」を活用する。

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発行スキーム

新たなステーブルコインについては、「信託型」で組成するという。

2023年6月に施行された改正資金決済法では、ステーブルコインには「銀行預金型」「資金移動型」「信託型」の3種類が存在する。中でも、信託型はライセンス・送金先・送金金額の制約といった観点で最も柔軟な設計が可能である点を理由に挙げた。

出典:プレスリリース

また、イーサリアム(ETH)やバイナンスが開発するBNBチェーンなど複数のチェーンへの拡張も想定している。

発行時期について、国内でステーブルコイン(電子決済手段)を業として取扱うためには、改正資金決済法で新設された「電子決済手段等取引業」のライセンスを仲介者が取得する必要があるため、バイナンスによるライセンス取得までの期間を考慮し、2024年中の発行を目指すという。

具体的な発行スキームは以下の通り。

  • 電子決済手段類型:3号電子決済手段(特定信託受益権)
  • 発行依頼者:Binance Japan
  • 発行者:三菱UFJ信託銀行
  • 裏付資産(預金)運用先:任意の金融機関
  • 裏付通貨種類:円貨建てステーブルコイン、及び外貨建てステーブルコイン
  • 取扱仲介者:Binance Japan
出典:プレスリリース

バイナンスジャパンの国内戦略

バイナンスジャパン代表の千野剛司氏は、8月に「日本市場における戦略とステーブルコインによるビジネス機会の展望と課題」をテーマにプレゼンテーションを実施。ステーブルコインを核とした既存の金融システムとの融合を進め、本家バイナンスの実績と技術力を活用したパートナーシップ締結を積極的に進める方針を示していた。

ローンチ時点で国内最多を誇る取扱い銘柄は早期に100種類突破を目指し、デリバティブ取引の提供や「バイナンスペイ」の提供にも取り組む。

海外版ではIEOプラットフォームやステーキングサービス、NFTマーケットプレイスなど多様なサービスを展開するバイナンスだが、日本市場でも国内規制上必要なライセンス登録を完了し次第、グローバル版と同等レベルのサービスを順次展開予定としている。

オリックス銀行もステーブルコイン事業に参入

同日、オリックス銀行株式会社はブロックチェーン企業G.U.Technologies株式会社とともにステーブルコイン発行の実証実験を開始することを発表した。

この実証実験では、G.U.Technologiesや電通など5つの企業および団体が参画するEVM互換のパブリックブロックチェーン「Japan Open Chain」を活用して信託型のステーブルコインを発行し、オリックス銀行が信託機能を提供することにより送金や決済などの技術的検証を行う。

利用者の本人確認なく不特定の利用者間で自由に取引ができるブロックチェーン技術を活用したサービス開発を目指すという。

なお、仮想通貨取引所BitTradeによってJapan Open Chainの手数料トークンのIEO(イニシャル・エクスチェンジ・オファリング)実施が2023年第3四半期に予定されている。

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参考:公式発表

参考:オリックス銀行

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