加納裕三氏が社長復帰提案へ
暗号資産(仮想通貨)取引所bitFlyer創業者のひとり加納裕三氏は、3月下旬に開催予定の同社親会社である株式会社bitFlyer Holdingsの株主総会で、自らの社長復帰を求める株主提案を行うことがわかった。27日にブルームバーグが同氏に行ったインタビュー内容として報じた。
日本のweb3業界の発展を加速します。
bitFlyer BlockchainとbitFlyer(取引所)を融合するため、取引所の代表に戻り兼任しようと思います。
「もう一度、世界で戦うビットフライヤー」
皆さま、応援よろしくお願い致します‼https://t.co/1nZSIPZMJM
— 加納裕三@bitFlyer (@YuzoKano) February 27, 2023
同氏の社長辞任以降、コストに見合った成果が上がらず「何も生まれない会社になってしまった」と指摘し、ガバナンス体制やコンプライアンスを強化した上で「世界で戦えるグローバルなスタートアップにしたい」と意欲を示した。社長復帰により経営改革を加速し、新規株式公開(IPO)を目指すとも述べたという。また、同氏は過去の買収騒動についても内幕を語った。
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bitFlyer買収騒動の詳細を語る
bitFlyerをめぐっては、2018年に金融庁から内部管理体制の不備を指摘され、創業者の加納氏が社長を辞任して以来、2022年までに4度社長が交代している。2022年3月の株主総会で加納氏自身が社長復帰を提案したが否決されている。
同氏は事前に過半数の株主から社長復帰の合意を得ていたというが、当時買収を提案していたシンガポールに拠点を置く投資ファンドACAパートナーズと現社長の関正明氏ら経営陣が組んで追い出そうとしたのではないかと主張。
加納氏の主張によれば、ACAは買収に関して、同氏ら起業家を中心とするメンバーと、同等の比率となるそれ以外の少数株主連合に対してそれぞれに買収意向を表明。少数株主連合には、起業家メンバーに示した400億円よりも高い株式価値を見積もった買収案を提示し、関氏を中心とする当時の経営陣の体制を維持する意向も示したという。
2022年4月に日本経済新聞が報じた内容によれば、bitFlyerの共同設立者である小宮山峰史氏や積水ハウス、グノシーなどが売却交渉に加わっていた。株式の評価額は最大450億円で、過半数の株式を取得する意向だったという。
加納氏の買収騒動に関する発言に関してブルームバーグが取材したところ、bitFlyer Holdingsの広報責任者を務める林秀樹氏からは、株主総会を控える時期に特定の株主の主張に対して意見を述べるのは不適切として「回答は一切差し控える」との返答があったという。
また、ACAグループの東明浩代表は「株主への提示額は、他買い手候補の方の提示額により価格の引き上げを行ったが、特定の株主の方のみ著しく低い株価を提示したことはない」と回答したという。
日経の報道後、加納氏は「敵対的買収」からの防衛策のひとつである「ホワイトナイト」をツイッターで募集。すると複数の企業がホワイトナイトに名乗りを上げ、ACAを上回る金額を提示。大株主である加納氏が株式の売却先を指定できる権利を行使し、ACAによる買収を破談に持ち込んだという。
しかし、このホワイトナイトは少数株主連合とACAが既に合意に至っていたことなどから交渉を続けるリスクを勘案し撤退。現在は自身に対するbitFlyer Holdingsを巡る買収の打診はないと語った。
bitFlyerの売却騒動や暗号資産市場の展望について、@YuzoKano氏が語りました。聞き手は@algebrista pic.twitter.com/aZvGFWbUL8
— ブルームバーグニュース (@BloombergJapan) February 27, 2023
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参考:ブルームバーグ