CBDCのパイロット実験

日本銀行は17日、CBDC(中央銀行デジタル通貨)のパイロット実験を4月に開始することを発表した。

パイロット実験では、「中央システムから、仲介機関ネットワーク、仲介機関システム、エンドポイントデバイスまでを一体的に実装するものとして実験用システムを構築し、エンドツーエンドでの処理フローの確認や、外部システムとの接続に向けた課題・対応策の検討」などを行うとした。

現時点では、店舗や消費者が関与する実取引を行うことは想定されていない。

実証実験の推移

日銀は、2020年10月に公表した「中央銀行デジタル通貨に関する日本銀行の取り組み方針」に沿う形で2021年4月に実証実験を開始した。最初の「概念実証フェーズ1」では、CBDCの中核をなす発行・送金などの基本機能に関する検証を行い、2022年4月に開始された「概念実証フェーズ2」ではCBDCに様々な周辺機能を付加して実現可能性や課題を検証した。

CBDCに関する基本的な概念が技術的に実現可能かを確認する「概念実証」は、当初の予定通り2023年3月に終了し4月より「パイロット実験」を実施する予定だという。

また、CBDCの制度設計を適切に進めるために「CBDCフォーラム」を設置し、リテール決済に関わる民間事業者に参加してもらったうえで幅広いテーマについて議論・検討を行うことも明かした。

一方で、日銀は日本でCBDCを実際に導入するかどうかは現時点で未定であるとの従来の立場を崩していない。

関連動向

日銀はCBDC関連の発表に際しては上記のように「現時点で日本で導入するかどうかは未定」との立場を繰り返し表明している。

一方で、黒田総裁は2022年1月の衆議院予算委員会において、立憲民主党の中谷一馬議員の「少なくとも2026年くらいまでには能否の判断はできるのか」との質問に対し、確約はできないと前置きしつつも「個人的にはそう思う」と初めて発行の能否についての判断時期に言及した。

また、2022年2月には、財務省がCBDC導入に向けて同年7月にも人員強化を行う方針であると日本経済新聞が報じた。報道によれば、法改正を念頭に金融庁と日銀との緊密な連携を図り、貨幣発行を担当する専門職員を2人ほど増員する見込みだという。

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参考:日本銀行

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